売春宿経営者の母を見て育った青年が、跋扈する米兵と共産党員の板挟みに苦悶するうちに、殺人事件を引き起こしてしまう。戦後日本の「性の在り方」を描いている、エロティック・ドラマ。
敗戦国となった日本において「性がどのように扱われるようになったのか」というテーマを提起している作品。「わいせつ図画公然陳列罪」で起訴されているのだが、今どきの感性で観ると、人間の本質を説いている真っ当なドラマという印象を受ける。
監督が歌舞伎演出の出身者ということだけあり、ワンカットの中に必要最低限の情報量を詰め込むのが巧い。女性のヌードが何度も映像に出てくるので、刺激的ではあるけれど、ポルノとはまるで違う。また、根底にあるものが「反米」であることは自明の理。
映倫審査を通っているにもかかわらず、起訴されたのが不思議でならない。起訴の本当の理由は、本作に内在されている、反米メッセージにあるのではなかろうか。