MikiMickle

ソーセージ・パーティーのMikiMickleのレビュー・感想・評価

ソーセージ・パーティー(2016年製作の映画)
3.6
コンラッド・ヴァーノン(『マダガスカル3』)とグレッグ・ティアナン(「きかんしゃトーマス」)という完全に子供向けの監督にも関わらず、セス・ローゲンとエヴァン・ゴールドバーグの脚本によって、100%おバカなお下品な大人向けとなったフルCGアニメ。
そして、声優にはアメリカコメディ界を引っ張るアパトーギャング達だけでなく、エドワード・ノートンまでもが参加しているという超豪華キャスト‼


郊外のスーパーマーケット。そこで売られているたくさんの商品たちは、スーパーの外にこそ天国があり、買い物客を神様と信じ込み、外に出る事をまだかまだかと待ちわびていた。
ソーセージパックの中の一本のソーセージのフランク(セス・ローゲン)と、ホットドッグパンパックのひとつのブレンダ(クリスティン・ウィグ)は、一緒に合体出来る日をずっと夢みてきた。先っちょだけね…とかやりつつ……
そして独立記念日の前日。遂に二人は同じカートに入れられる‼これでひとつになれる‼とドキドキの彼らだが、外の世界は地獄だと騒ぐハニーマスタード(ダニー・マクブライド)のせいで店内に取り残されてしまう… そして真実を見つけるために、スーパー内を冒険する事に… しかし、彼らに恨みを持った女性用ビデ(ニック・クロール)に命を狙われて…
一方、買われていった食材たちは、自分たちが食べられるという残酷な運命を知り…

いわば、食材版『トイ・ストーリー』と言えるハラハラの展開の中、お下品度は100%(笑) ディズニーとピクサーが作り上げてきた世界をおバカな彼らがジャックしちゃった‼っていう作品です

まず、性的メタファーの宝庫でもあります
ソーセージとパンは、そのまんま、男性と女性。パンのブレンダの見た目だけでもかなり。
そして、台詞の至るところに下ネタの暗喩が…
例えば短いソーセージ仲間のバリー(マイケル・セラ)には、太さがあるから心配するななどと励ましたりと… こんなものは序の序の序の口です
そもそも敵が洗浄器って‼‼ こいつもかなりの極悪です

そして、ホラー要素も‼‼ 食べられる食物たち、阿鼻叫喚!

心底おバカなのだけれど、しかし、非常にブラックの効いた風刺映画でもあります。
例えば、エドワード・ノートンが声を担当するサミー・ベーグルJr.はユダヤ系の象徴、一方、カリーム・アブドゥルラヴァシュはアラブ系の象徴。いつもケンカばかりしている二つのパンはパレスチナ自治区を描いています。また、ナチスなザワークラウトがいたり。
それぞれの棚は、違う棚を認めません。つまりは人種や文化の違いの差別を表しています。そう、スーパーマーケットは世界の縮図でもあるのです。メキシコ地区や中国地区があったり、マリ ファナをキメる保存食コンビのファイアーウォーターはアメリカ原住民、トゥインキーはダサい白人、グリッツは黒人です。食材を絡めて世界を表現し、皮肉っています。そこが非常に興味深いです。
また、神と思われている人間が実は神でもなんでもないという所に宗教へのアンチテーゼを感じます。宗教・民族・ジェンダー・性・差別・障害・ドラッグ・消費社会をブラックユーモアで描きつつも、それを全く感じさせないおバカで下品なアホさであり、かつ、アクションとホラーと冒険ものを組み込んだというコメディなのです。よくこんな脚本がかけたなと(笑) 尊敬に値します

そして、ラストがぁっっっ‼‼ ラストがぁ‼‼(猛爆) 爆笑w これこそ、アニメでしか出来ない表現です。アホかっ😂‼これで世界平和‼ peace!

ちなみに、他の声優陣には暗黒神(賞味期限切れの商品をどんどん廃棄する店員)にはポール・ラッド。レズビアンのタコシェルにはサルマ・ハエック。ソーセージ仲間のカールにはジョナ・ヒル。ジャンキーには、ジャンキー定番のジェームズ・フランコ。ファイアーウォーターにはビル・ヘイダー。などなど。豪華!
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