5歳の少年と母親との暮らし。
…ん?何かがおかしい。
狭く汚い部屋ではあるが、食べ物はあるし、少年も元気そう。でも留置所の様にバスタブとトイレが剥き出しのままの部屋。
驚愕のストーリーでした…。
17歳で誘拐され、7年間監禁されている女性ジョイ(ブリー・ラーソン)。レイプされた事で産まれた子どもジャック(ジェイコブ・トレンブレイ)と過ごす小さな部屋。夜な夜なやって来てはレイプし続ける男。やがてジャックが5歳になった時、ジョイは部屋からの脱出を決意する。
何度も息が詰まりそうになっては一時停止をして深呼吸。彼等にとってそれは日常でも、僕等にとっては非日常。あってはならない現実が彼等にとっては現実という重さにこちらが潰されそうになる。
部屋の外は宇宙空間?
壁の内側と外側って?
TVの中のものは本物?
ジャックはなかなか部屋の外に広がる世界を理解出来ない。
5年間ずっと天窓しかない部屋の中で生きてきたのだから無理もない。
祈る様に脱出劇を見届けた後、後半は解放後の生活が丁寧に描かれる。医師とのやり取りも、取り囲むマスコミも、帰還を喜んでいた家族でさえも、母と少年の荒れた心には沁みて痛む。被害者が解放後もこんなに辛い思いをするのだと思い知らされる。
ようやく部屋から出られたのに、何度も部屋に帰りたがるジャック。心が壊れていくジョイ。胸が痛い。
それでもジャックは徐々に世界に順応していき、何度も母親を救う。子どもって凄い!
重いテーマではあるが、ジャックの目線で映し、ジャックのナレーションで語りかけてくれる事で、5歳の少年にとっての殆ど全てが初体験をユーモラスに見せてくれるのがまだ救い。
最後に部屋と決別出来た2人をとても誇らしく思う。
それにしても、最近の子役の演技に唸らされる毎日です。