ナツミオ

トランボ ハリウッドに最も嫌われた男のナツミオのレビュー・感想・評価

3.8
NHK-BSプレミアムシネマ録画鑑賞

 “君は私を超えた…”

初鑑賞。
冷戦時代、赤狩りの波に飲み込まれる脚本家ダルトン・トランボとその家族の物語。

「ローマの休日」はじめ数々の名作の脚本を執筆したダルトン・トランボを主人公に、東西冷戦の時代、ハリウッドに吹き荒れた“赤狩り"を描く実話をもとにした社会派ドラマ。

第二次大戦中は同盟国だったソ連と米国は、戦後東西に分かれ冷戦が始まる。
特に社会主義国家と共産主義の躍進は、西側自由主義国家に危機感を与え共産主義=国家・国民の脅威として”魔女狩“さながら映画人、その家族たちにも襲いかかる。

実名の映画人、作品名も出て当時の狂気の世界”マッカーシズム”を学べる。

また、トランボ一家を通して、彼を支えた妻、子供たち、仲間や敵対する人たちとどのようにして闘ったのか?を興味深く観た。

第一印象は、トランボの妻クレオ(ダイアン・レイン)がトランボ一家の要であったこと。一家をまとめ、夫を励まし、また家族の崩壊の危機に際し夫へのカウンター・パンチとも言える喧嘩。
歳を召されても魅力的なダイアン・レインがクレオという役柄に魅了された。

冒頭のセリフは父が長女ニコラへのセリフ。邂逅シーンに胸熱♪♪
エル・ファニングの輝きも印象深い♪♪

【印象のシーン】
『スパルタカス』製作・主演のカーク・ダグラス

『栄光への脱出』監督のオットー・プレミンジャー

B級映画製作会社社長
トランボたちをこき使うが、
”金と女“のため、と豪語するその姿勢も逆に清々しい。

対して、赤狩りに賛成するジョン・ウェインや映画製作会社、中でも赤狩りの急先鋒、女性評論家の胸糞さが際立つ。
ここはヘレン・ミレンの演技の賜物⁈

終盤に1970年代トランボのスピーチは当事者だけでなく観るものも癒される♪♪♪


余談
・中学生の頃、初めて観たトランボ作品が『ジョニーは戦場へ行った』
あまりの衝撃にトラウマ作品で未だ再鑑賞出来ず。これを機会に再鑑賞する⁇



原題 『Trumbo』

2015年米作品126分
製作・脚本 ジョン・マクナマラ
製作 マイケル・ロンドン ジャニス・ウィリアムズ シバニ・ラワット モニカ・レビンソン ニミット・マンカド ケビン・ケリー・ブラウン
監督 ジェイ・ローチ
原作 ブルース・クック
撮影 ジム・デノールト
音楽 セオドア・シャピロ
キャスト ブライアン・クランストン ダイアン・レイン エル・ファニング ヘレン・ミレン ジョン・グッドマン

翻訳者 李静香

(NHK番組内容より)
1940年代、米国。
第二次大戦終結後、東西冷戦の高まりで共産主義者やその同調者を追放する“赤狩り"によって、共産党員だったトランボ(クランストン)は議会での証言を拒否し収監されてしまう。出所したトランボは、さまざまな偽名で脚本を書き続けるが……。
逆境にめげず信念を貫いた名脚本家と、彼を支えた家族の感動の物語。


【忘備録】ネタバレ含む
(キャスト)
ダルトン・トランボ
- ブライアン・クランストン(金尾哲夫)

クレオ・トランボ
- ダイアン・レイン(佐々木優子)

ヘッダ・ホッパー
- ヘレン・ミレン(一柳みる): 『スパルタカス』(1960年)にトランボを起用したカーク・ダグラスを批判したコラムニスト。

アーレン・ハード
- ルイ・C・K(石住昭彦)

ニコラ・トランボ
- エル・ファニング(のぐちゆり): ダルトンの長女。

フランク・キング
- ジョン・グッドマン(宝亀克寿)

エドワード・G・ロビンソン
- マイケル・スタールバーグ(岩崎ひろし): 赤狩りでハリウッドを追放された俳優。

イアン・マクレラン・ハンター
- アラン・テュディック: 赤狩りで干されていたトランボのために、自分の名義を貸した。

ヴァージル・ブルックス
- アドウェール・アキノエ=アグバエ(竹田雅則)

カーク・ダグラス
- ディーン・オゴーマン(土田大): 『スパルタカス』で主演と製作を務め、トランボを実名でクレジットに載せた。

ハイミー・キング
- スティーヴン・ルート

バディ・ロス
- ロジャー・バート(鳥畑洋人)

ジョン・ウェイン
- デヴィッド・ジェームズ・エリオット(楠大典): 赤狩りに加担した「アメリカの理想を守るための映画同盟」の一員。

ロバート・ケニー
- ピーター・マッケンジー

サム・ウッド
- ジョン・ゲッツ: 「アメリカの理想を守るための映画同盟」の一員。

ロイ・ブリューワー
- ダン・バッケダール(宮崎敦吉): 「アメリカの理想を守るための映画同盟」の理事長。

ルイス・B・メイヤー
- リチャード・ポートナウ: メトロ・ゴールドウィン・メイヤーの創始者の一人。
赤狩りに積極的に協力した。

オットー・プレミンジャー
- クリスチャン・ベルケル(楠見尚己): 映画『栄光への脱出』(1960年)でトランボを起用した。

ミッツィ・トランボ
- メーガン・ウルフ

クリス・トランボ
- ミッチェル・サコックス
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