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アルファベットのatsukiのレビュー・感想・評価

アルファベット(1968年製作の映画)
4.5
『イレイザーヘッド』の原型。妻の姪が悪夢に魘されながら、「ABC…」と口遊んでいたところから着想を得たと言う。噴き出す「血」のイメージからも、これは妻視点であると取れるだろう。題の『アルファベット』が何かと言えば、いわゆる言語であるからして、生まれてくる子供への期待と不安(教育という視点から)、またそれを話せない彼女が非言語的地獄を味わっているに違いない。

『SIX MEN GETTING SICK』の病気ループのアニメーション、『Absurd Encounter with Fear』の不条理な実写、『Fictitious Anacin Commercial 』のソープ風コマーシャル。それらを経て、「絵を動かしたい」というリンチの願望が体現した今作は、まさしく画家から監督へと変貌を遂げた瞬間であり、また実写でアニメーションという手法によって、彼がジャン・コクトーの域へ辿り着いたのであろう。
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