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ゴースト・トロピックのatsukiのレビュー・感想・評価

ゴースト・トロピック(2019年製作の映画)
4.0
この夜に寄り添えるだけの善良さを持ち合わせているからこそ、じんわりとしたあたたかみがあった。おそらく古典的な切り返しがなかったと思う。一期一会のなかで、ふと親密さが育まれる場面——たとえば大型施設の警備員やスーパーの女性店員との交流——は、後姿をすこし斜めからカットバックをする。それぞれのフレーム=世界があるような、同一画面には入れないこと。さびしさと亡霊熱帯という題名を感じた。しかし、娘の情事(すこし位置と角度を変えながらふたつのヨリ)と盗視する母親をゆるやかな横移動として内側から切り返す。そのときのよこがおは、この空間を埋めることは骨が折れるという自宅の部屋に帰還したあと、見知らぬどこかへというリゾート地でまた現れる。
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