藤見実

チリの闘いの藤見実のレビュー・感想・評価

チリの闘い(1978年製作の映画)
5.0
大統領選挙に合わせて再見。第一部、第二部が概ね時系列順に1973年の9月までを書いているのに対して、第三部は、二部までの時系列から「人民」を焦点化して語り直す。工場が拠点になるのをみて、基幹産業を場とする共和主義的参加政治のある種の理想型を見た気持ちにはなった。
映画は人々の声を届けるだけではなく、執拗にその手を写している。ナレーションは一応最低限で、アジェンデを理想化するものではない。単なる「写し」というよりは、明らかに意図的なパンにわかるように、編集以前カメラワークの時点でかなり演出も入っているし、群衆をショットとして捉えるハンター的な運動も見られる。だけどどこまでいっても「同志」であることに担保される労働者との信頼関係よ(その意味で第一部のチャンネル13を装った撮影はかなり意地悪に思えもする)
藤見実

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