チリの闘いの作品情報・感想・評価

チリの闘い1978年製作の映画)

上映日:2016年09月10日

製作国:

上映時間:263分

4.3

あらすじ

「チリの闘い」に投稿された感想・評価

三部作合計で263分のドキュメンタリー映画。我ながらよく観ました。

首相官邸や国会議事堂が爆撃される映像はとてもショッキング。
※数年前に見たのでうろ覚え

4時間超の長編ドキュメンタリー。


チリで過去、大規模クーデターが起き、その水面下で凄惨な左翼への弾圧、虐殺行為が行われていたことをこの映画で知った。勉強不足を恥じるとともに、記録映画の持つ後世に伝える力を痛感した。
命を賭して撮影し、映画として世に放った監督とカメラマン、その他製作関係者に敬意を表す。

間接的にとはいえ、あれだけ人を殺してきた人間なのに結局法のもと裁かれることもなく天寿を全うしたというのはやりきれない。胸糞ポイントです。
1部
すんげえ…「記録映像なので思ったことを言ってください」と言われてるとはいえ、支持政党に対して確固たる信頼を預け、自分たちの生活を守ろうとする民衆らによる闘争。ブルジョワの買い占めにより食料不足に陥る下層階級の人々に配給を行う組織を統率する経済相は右派によって不条理な罷免に合い、ほかの左派議員も次々とあることないことをでっち上げられ罷免されていく。右派によって仕組まれたストにより労働者は内部分裂を起こし、労働者側も大部分が冷静になって労働再開したかと思いきや謎の装甲車による発泡、ラストは、一人の男性が発泡する男性を撮っているカメラの映像が流れる。画面の中の銃を持った男はその銃口をこちら側に向け、次の瞬間画面は地面を転がっていき、1部終了。

2部3部もこの調子なのでレビューはまた今度
まこと

まことの感想・評価

4.5
「国家は労働者のため」
フォロワーさんのご厚意でやっとこさ観られた。ありがてぇ、ありがてぇ。
4時間ちょいの長尺もなんのその。なんという熱量。

9月11日という日は国によって思い入れが違う。
命がけの撮影。これは二度と撮ることの出来ない映画。
この監督がこの時代を生きていて、この時代にクーデターが起きた、という幾重にも重なる奇跡。
映画としてだけじゃなく歴史的価値のある一本。

今まさに日本でも年金騒動に対してデモを行っている人々がいる。
一人一人の力は僅かでも彼ら彼女らは国を動かせると信じて抗議する。
それを「税金泥棒」と言いはなった某お方は正直ちょっと…。誰か一人ぐらい彼の本を持ってデモに参加するぐらいの気概があればおもろいのに。
(でも日本のデモのナンセンスさは分からんでもない)


歴史が動くその瞬間を捉える、世界史の義務教育にもってこい。
でもチリに関する知識は
ブラジルの横にあって長細い国でしょ?ってことと
昔、チリ人妻のアニータという女性が話題になった事件があったなぁというくらいでした、バブバブ
世界史弱かったのあたし……
kyoko

kyokoの感想・評価

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こちらはフォロワーなつさんのご好意で観ることができた。
感謝感謝感謝。

以前「ミッシング」(こちらもフォロワーまさなつさんからのご好意で鑑賞。フィルマークスってほんとありがたい)を観たときに、チリのクーデターについての概要を頭に入れたつもりだったのだけど、このドキュメンタリーはそんなにわか知識など吹っ飛ばす代物。よくまあこんな映画が撮られたもんだ。すごいとしか言いようがない。

そしてチリの労働者たちの雄弁が胸熱。
己の労働は国のためにある、国の未来は自分たちの力にかかっている。
日本しか知らない私が、このような価値のもとに自分の労働力を置いたことなどあるはずもないが、労働者たちがストで交通機関がマヒしているならば歩いてでも!とラインを止めない気概に胸を打たれてしまった。
今まで社会主義の国が発展しないのは南米のテキトーな国民性では労働意欲や向上心を保つのが難しいからだけだと思っていたわ。。。

そしてアメリカを手詰まりにさせたのは彼ら労働者とアジェンデ大統領との団結心だけだったことに心底驚いてしまった。
「民衆はあなたを守る」と国民は叫び、アジェンデ大統領は最後まで官邸にとどまった。最後の国民に向けたラジオ放送の声には悲壮感ではなく強い覚悟。
「サルバドール・アジェンデ」も観てみたい。

2001年9月11日のアメリカを、1973年9月11日の記憶を持つチリの人はどう見たんだろう。
私ならつい「因果応報」って呟きそうになるけど、理不尽に身内や仲間が殺された経験を持つ人たちはきっと悼む気持ちを忘れない。
なつ

なつの感想・評価

4.5
“チリの闘い”は、アジェンデ大統領率いる人民連合政権(1970~73年。マルクス主義を掲げて、世界初の社会主義政権が誕生)時代の騒擾に満ちた最後の数ヶ月を記録・再構成した作品。
(解説より)

圧倒的な熱量が迸る。観終えて、本作の持つ重みを痛感した。
9月11日には毎年観たくなった。
こんな記録を撮り続け残っている事が奇跡的だ。
お恥ずかしながら、チリの歴史をわかっていなかった私…。
そんな私が観ても、冗長過ぎず、とても整理されていて非常にわかりやすい構成になっていたので、周りに勧めまくりたい。
観る機会に恵まれず、ソフトを買ったので(ちょい高い…笑)、興味のあるフォロワーさん達にお貸ししてまわりたい!

蛇足だけど…
米国…腐らせないでよ、チリを。
昔、南米旅行したとき、アメリカの空港で『何しにアメリカへ?』と聞かれ。
『トランジエットトゥボリビア』と答えたら。
『嘘つけ、あんな国何もないだろう』と言われ、挙げ句に、アメリカに泊まれとアメリカ観光地をとうとうと語られた事がある。
自分達が一番と思っているんだよなぁ。
南米の人々は明るくて優しかったけど。
人の強さ、社会が変わっていく様、そういったものが映った、本当に見るべきフィルム
第一部、第二部のみ。皮肉にも新世紀の9.11が今作の闇を被害者に成り代わらせたのは、不謹慎ながら因果的なものを感じずにはいられない…それぐらい衝撃的な映画。
菩薩

菩薩の感想・評価

4.5
9月11日、それはあの日以来アメリカにとっては「テロとの闘い」を意味する重要な日なのかもしれないが、チリにとっては希望の芽が潰え、そして悲劇が開始された日を意味する。ベトナムの大地を枯らしたアメリカは、チリの内部を莫大な資金をばら撒き着々と腐らせていった。左派対右派、ブルジョワ対プロレタリア、社会主義対帝国主義の熱き闘い、右派の経営者層がアメリカの資金援助の元長期間のストに突入して行くのに対し、労働者達は耐え難きを耐え、忍び難きを忍び、自らの信念をサルバドール・アジェンデに全て託し、彼を守り、また国を守る為、バスすら走らぬ状況の中、それでもなんとか駆り出したトラックにしがみつき、またある者は歩いてでも職場に赴き、その手に課された生産性を最大限に維持しようと努力を続ける。流通が止まればそれすらも自ら管理下に置き、人々は自主的に連帯を為し、自由と平等を手中に収めようと、常に最善の策を模索しながら行動を続ける。社会主義にももちろん欠点はあるだろうし、資本主義にも欠点は大有りだ、民主主義も当然同じで、衆愚政治に陥ればそれはすぐさま独裁、内政の腐敗へと繋がっていく。ただ一方的に左派の、人民の正当性ばかりを訴えている作品でも無い、右派には右派の論理があり、アメリカの後ろ盾さえ無ければ、彼等には彼等なりの国を守る為の考えと言うものがある。南米の赤化を食い止めるとの大義名分の元、自ら標榜する「民主主義」を完全に破壊し、ピノチェトの独裁、そしてその後の大虐殺を完全に黙殺したアメリカの罪は、永遠に消え去る物では無い。これは監督にとっての、チリの人民にとっての闘いの始まりの記録、かつてその国にあった確かな希望の姿、痛みながらも後世になんとか繋がれたこのフィルムは、アジェンデの片方だけ残った眼鏡のレンズの様に、今日も世界を見つめ続けている。

素晴らしい。
途中寝たにも関わらず、自分の中の特別視してしまう監督の1人になった。
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