ブラックコメディだと思っていたら、とんでもなく恐ろしい映画だった。ヒトラーが現代に蘇ったら人々はどう反応するのか。リストラされたテレビマンが、ヒトラー似の自称ヒトラーと町に出て実際の人々のライブ反応を映し、テレビ局に企画を持ち込み…。
ストーリーは半分フィクションで、倫理なき視聴率主義のテレビ局のてんやわんやを描く一方、リストラされたテレビマンの取材はぶっつけ本番の本当の町の仕込み無しの人々の反応。驚きの反応だった。
ポピュリズムの恐ろしさを再びドイツで再確認させられるとは。
人々の不安に共感し、人々の不安をさらにかきたて、時に叱り、願望を叶えると人々を扇動する独裁者。
率直で断定的なもの言い、自分たちの未来を決め行くべき道を示すリーダーを求める人々。
救世主などいるはずないのに、現状を否定し、現状の改革を断言する人に依存する人々。
リーダーシップと独裁者の違いは明確であるが、リーダーシップを求める心が独裁者を生み出しているのはたしか。
ヒトラーは人々の心の中にいる。ヒトラーを生み出し、怪物に育てるのは人々だった。
危ない人の見分け方は、不安を煽り、相手が怯んだらその隙に優しく入り込んでくる。
ドイツですらそうなんだから、気をつけないと、と思った。ポピュリズムの兆しと強いリーダーを求めることに注意したい。