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帰ってきたヒトラーのucandoitのレビュー・感想・評価

帰ってきたヒトラー(2015年製作の映画)
5.0
ユダヤ系資本のハリウッドと一味違うドイツ映画。コメディータッチのホラーですかね。

まず、出だしでメルケルを陰気なオーラのデブ女と言わせちゃうのが凄いですね。日本では絶対無理、政府に対する忖度が過剰で立憲主義が根付いてないとも言えるか。それにしても失礼ですよねw。

ヒットラー賛美或いは待望論でもナチ断罪でもない。現代のネオナチとかまるで低脳扱いだ。ましてや、ホロコーストでっち上げ論でもない。

主演の醸し出すヒトラーの魅力・魔力が恐怖を誘います。
一番の恐ろしさはヒトラーの私心の無さ。他の一般人はほぼ私心の塊。この狂った純粋さに凍りつきました。そしてなんかチャーミングなんです、困ったことに。

映画ヒトラーのパロディが楽しいです。コメディーとしても上出来。

メディアやSNSの低級さ(視聴者の愚かさ)も主要テーマですね。暗い密室で映画で民衆を洗脳しようとしたヒトラー。テレビやSNSというトゥールを与えたら数倍のインパクトを持ったかも。

1500万人のイスラム移民(潜在的不平分子)と彼らと仕事を奪い合うヨーロッパの人達。特に積極的に移民を受け入れたメルケル政権の悩みが深刻です。
この映画に描かれるような天才的狂人にミスリードされない事を望むばかり。歴史は感覚的に忘れられていきます。

最初は皆んな笑っていた、というセリフがありましたがトランプや安倍晋三も最初は道化でした。まあ天才ではないしカリスマ性もないので心配はしませんが。

こういう映画を作る哲学の国ドイツの骨太さを感じました。日本人のセンスでは考えにくいです。

最初に本物と気付いた サヴァツキが隔離され、気付きながら自分たちの利益のためにヒトラーを利用する上層部。禍は全ての人を覆うのでしょうね。

後で気付きましたが、役者のファーストネームがそのまま役名に使われているんですね。虚実混ぜ合わせた秀作と思います。そして完璧なフェイスマスクで混乱させます。パラレルワールド。現代の危機への警鐘だと思います。結構後味悪い所も好きです。
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