生姜異物強壮

世界侵略:ニューヨーク決戦の生姜異物強壮のレビュー・感想・評価

1.7
『ニューヨーク決戦』じゃなく、『ニューヨーク敗残記』。

つか、このアンドリュー・ベルウェア監督も「Dマイナス級SF」界の常連クリエイターさんなんで、撮る作品撮る作品、(内容から乖離しまくりな)邦題による詐欺られかたが酷いw

旧作の『ターミネーター・ブラネット』も中身は『最果ての煉獄星』てえ内容で、終始、黄土色の砂漠しか映らないのに、ジャケ写には大戦に燃える未来都市が描かれてた。

べルウェア監督はチープな予算(=安っぽいセット&ロケ+駆け出し俳優陣)で強行制作する上に、フィルムには過度な色補正フィルターかぶせまくるのが、記念すべき?デビュー作『パンドラ・マシーン(2004年)』以来の一貫した"作風"。

鮮やかな原色を嫌って(50年前のビデオテープみたく)色褪せたカラーリングを多用するんで、いっそう観た目の単調さ、安っぽさが増幅される傾向が。本人は「あえて色を落とせば芸術っぽい」とでも、カンペキ勘違いしてんだろな。哀れ~(寂寥)

加えて本作の場合、ニューヨークが「突如、ほぼゴーストタウン」という設定なので、(人影が街から消える)未明と早朝にしかロケしてない。早朝を「明るい昼間」と見せかけるためにも、色味を飛ばす必要があったのだろう。

本作の特筆すべき点としちゃ、異星人侵略者が地球に差し向けた"人類掃討兵器"的に市街を走り回るジャイロ状の回転体?の造形が、【パクるの大好き♪ロシア人】の眼に留まり6年後、膨大な製作費を注いだSF大作『アトラクション』において巨大化した恒星間宇宙船へと昇華。奇跡の不死鳥のごとく☆輝きを放ちながら)陽の目を見た……ことくらいだろか。

さすがに当ロシア作品のキラびやかな米国劇場公開は、ベルウェア監督の作り手たるプライドにも楔(くさび)を穿った。「やっぱり、映画の出来はカネが総てなのかああ!!?」とでも堪(こた)えたのか2017年以降、パッタリと映画制作の現場からは去ってしまった。すっかり隠遁暮らしだ。

前年2016年に、50万ドル(5千万円)注ぎ込んで撮った最終作『ザ・シェル』が、ついに米国内では誰ひとり配給主が現れず、世界で日本でだけDVDスルー向けに買い叩かれて終わったコトで、自身の財布も「すってんてん」になったことも「去るしかなかった」大きな理由なのかもしれない。

ちなみに…そんな彼が、波乱万丈な映画作り人生を振り返ったとき「ささやかな勲章」に据えるのは、ナンと《日本語吹替版》まで作られる⁉に至った自監督作『バイオハザード3077』…で、あったらしく。

なぜってYouTubeで、氏自らが「Biohazard 3077」と紹介しつつ数本の作品クリップをUPしてるのだ。わ、ワビしい~い…っ(偲)

今はただ、SF映画界にベルウェア監督が次々と繰り遺された「ナンちゃって作品たち」に畏敬の表明を。心からの哀悼を…!!!