えにし

風櫃(フンクイ)の少年のえにしのレビュー・感想・評価

風櫃(フンクイ)の少年(1983年製作の映画)
3.8
『風が踊る』と続けて観た。階段の下から上へのぼる人物と、それを眺める人物が画面手前に配置されるさまとがワンカットに収められるところ——を筆頭に、印象的な長回しがいちいち頭に張り付いて剥がれない。上映後の田村志津枝さんのトークによると、ビリヤードをする少年の画は兵役を控えた彼らのがらんどうな心の象徴みたいなことらしい。そういや『童年往事』や『風が踊る』でもやたらビリヤードの描写があったなあとは思ったけど、本当にそれしかやることがなかったんだな。そうした心の空洞を自分の意志で埋められない焦燥と、吹っ切れてカセットテープを叩き売りする高揚が切ない。大人ってのは何かを諦めたときになっちまうもんなのか。
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