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メッセージのbutasuのネタバレレビュー・内容・結末

メッセージ(2016年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

アイデアは悪くないのだが、映画としてあまり上手くない、勿体ない作品。

とにかく冗長。初めの30分間は物語が動き出すまでの前振りでしかなく、無くても良いシーンばかりで、正直5分程度にまとめられる内容。その後も動き出したと思った物語は思わせぶりなだけの不要なシーンばかりで非常にノロノロと進み、ようやく展開を見せるのは開始1時間半後。そして残り30分で伏線回収の急展開をするのだが、ちょっと仕上げが雑というか、強引。

主人公は何の権限もないはずなのに独断行動が出来すぎている。軍があまりに無能なのか?主人公が何のきっかけも根拠もないのに「宇宙人は我々に危害を加えようとしていない」と信じ切っているのも謎。せめて心の交流っぽいシーンを入れるとか、何らかの理由付けは必要だったのではないか。人権派のアメリカ、強硬派の中国、という偏見まみれの描き方も嫌い。アメリカ軍なんかすぐ攻撃を仕掛けそうなイメージあるけどね。

宇宙人の言語文字は美しくてなかなか良い。ばかうけみたいな宇宙船も斬新っちゃ斬新。ただあの宇宙人のデザインはなくない?今更タコ型宇宙人って。吐き出した墨で文字書いちゃうって。

とにかくラスト30分まではただただ退屈な作品なので、観続けるのがかなりキツかった。雰囲気を出すためなのだろうが、画面もずっと暗い。登場人物たちの表情がわかりにくいレベルで暗い。変わり映えしない画面を延々と観なければならない苦行。

回想シーンだと思わせていた映像が実は未来予知だった、というオチは決して悪くない。だが、それ以外に気になるところが多すぎて、ちょっと素直に飲み込めなかった。それに確かに落とし方として考えられているとは思うのだが、病気で死ぬとわかっている娘をこれから産む、という展開は精神的にきつすぎるから自分は嫌い。あとこのオチを強調するためだろうが、さすがに回想シーンの挿入が多すぎる。ただでさえ最悪なこの映画のテンポを完全に殺しているといっても良い。

そんなに悪くない映画なのだが、残念ながらもう二度と観たくない。しかしこの手の雰囲気映画って、「好きじゃない」って言うと「わかってない」とか言われそうで嫌だなぁ。
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