すずき

リメンバー・ミーのすずきのレビュー・感想・評価

リメンバー・ミー(2017年製作の映画)
4.0
メキシコのリヴェラ家は、代々靴作りを生業としている大家族。
かつて高祖父が音楽家を目指して家族を捨てて帰らなかった為、リヴェラ家の家訓は「音楽絶対禁止」。
しかしミゲル少年はギタリストの夢を持ち、屋根裏部屋で密かにぼっち・ざ・ろっく!していた。
高祖父が絶頂期に亡くなった伝説のスター、エルネストである事を知ったミゲルは、彼のように音楽を目指す事を家族に宣言する。
しかし家族に夢を否定され、家を飛び出したミゲルが迷い込んだのは、死者たちの国であった…

ピクサー長編アニメーション第19作。
死者の日(日本でいうお盆)のメキシコと死者の国を舞台に、家族の絆と音楽の力を描いた感動作。

なんと言っても音楽が良い!スコア+0.1上乗せ!
そしてそれがクライマックスの感動シーンとピタリとハマるので、感涙必至。
しかし物語の道中は実は案外平凡だったり…?
だがクライマックスで思いっきり泣かされると、そこら辺は勢いで有耶無耶になる、まさに終わり良ければ全て良し!の作品。
「カールじいさんの空飛ぶ家」はオープニングの感動シーンの勢いで作品を引っ張っていくので、そういう意味ではよく似た、或いは真逆の手法の映画だ。

この映画の死者達は、誰かに覚えてもらえる事で霊魂が消滅せず存在が維持出来る、「おひとり様」に厳し過ぎる世界観。
同じメキシコを舞台とした「ミラベルと魔法の家」も、一つの家で一族が暮らし、命を繋いでいく事を何より大切とする家族主義である為、多分メキシコの一般的な価値観なんだろうな。
私はその家族主義的な価値観が間違ってるとは言わない。
この作品ではそれが「正しさ」で、独りで生きる事を賛美する作品は他にもある。
価値観の選択肢が沢山ある事が真に正しい事だと思っているので…。
昨今のディズニー社は「正しさ」に対して慎重な姿勢を見せる一方で、こういったある意味で偏った価値観を持った作品を発表する事に何か考えはあるのだろうか。

死者の国より、主人公の住むメキシコの田舎町のビジュアルの方がワクワクするのは普通にマイナスポイント。
イマジネーションが現実を超えられなかった感。
やっぱりメキシコの色彩って素敵ね!