にいな

溺れるナイフのにいなのレビュー・感想・評価

溺れるナイフ(2016年製作の映画)
4.5
愛と水の親和性、神秘性を見せつける映像は涙のような温度でゆらめく
彼は自分に触れるもの全てをどうしようもなく傷付けてしまう、まさにナイフ。傷に溺れていくナイフを救うことは、夏芽の誠実な愛でも出来ない。それでもコウの美しい生き様を知ってしまった夏芽は刺される前の自分に戻ることは出来ない。コウを愛するたびに傷が深さを増しちゃって、その呪縛はふたりの追いかけっこのように終わりがなく付き纏う。
でもその傷はなつめを豊かにする切り口をも与えていて、ナイフの魅力の連鎖は続いていく。
コウはお互いに幻想を見ていたと言ったけど、ふたりの交感は確かだった。過ぎ去った「あのとき」が美しく見える現象に名前をつけて。
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