姿を見せず、虎視眈々と一撃必殺のワンショットに全てを賭ける。
そんなスナイパーが堪らなく好き。
第二次世界大戦中、計309人のナチス・ドイツ兵を射殺し、"死の女"と恐れられたソ連の女性スナイパー、リュドミラ・パヴリチェンコの実録ドラマ。
1941年、ナチス・ドイツはソ連への侵攻を開始。大学生のリュドミラ・パブリチェンコ(ユリア・ペレシルド)は、射撃の才能を見い出され、スナイパーとして戦場に駆り出される事に—— 。
色味を抑えたフィルターで、"生"という彩りを感じさせない、殺伐とした映像。
父との確執。
マウントを取ろうとする男子学生。
色恋沙汰に夢中の女子学生。
様々な要素が、たとえ女性であったとしてもスナイパーとして戦場に馳せ参じるというリュドミラの決意を固めるべく、背中を押したのだと理解した。
しかし、どうも違う。
戦闘描写はかなりリアルだけど、
中身としてはかなりメロドラマ的。
死の女と呼ばれながら、戦争の最前線で3人の男性を愛し、愛されたリュドミラ。
都度挿入される恋愛模様や、戦地での行為シーンには少々戸惑ってしまった。
アメリカのルーズベルト夫人と友情を育む事で、彼女の弱さや葛藤、女性らしさが際立って描かれているから尚更である。
彼女は、女性を捨て、ある種ジェンダーレスの立場でスナイパーに徹するのだと思っていたら、思いっきり女性性を見せつける場面が多数あり、彼女のポジショニングが最後までよくわからなかった。
そんなに割り切れるものでもないのかな。
人間だもの。
何日も続くスコープ越しの睨み合い。
スナイパー同士による一騎打ちのシーンはシビれた。
生きるか死ぬかの瀬戸際でも、あんなにも恋愛感情を抱くものなのだろうか?
畜生。戦地に出向いた事がないから、わかんないじゃないか。