映画漬廃人伊波興一

ジョーのあした 辰吉丈一郎との20年の映画漬廃人伊波興一のレビュー・感想・評価

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辰吉丈一郎と阪本順治の間に連帯するものは「孤立無援」だと誰しもが思います  阪本順治「ジョーのあした 辰吉丈一郎との20年」

辰吉丈一郎という同世代のボクサーに特別な連帯感を抱いていたわけではありません。
むしろ亀田家族を先駆けたようなパフォーマンス(ご本人はそんなつもりはないかもしれぬが)にやや嫌悪感さえ当時はありました。

1995年公開の「BOXER JOE」というドキュメンタリーも阪本順治監督でなければ劇場までは行ってなかったと思う。

あれから20年。その間の辰吉丈一郎の軌跡を追ったドキュメンタリ「ジョーのあした 辰吉丈一郎との20年」

テレビ初登場で日本映画専門チャンネルで録画していたのを初めて観たのが昨年です。

本編作品とタイでのノーカット試合、奥様のインタビュー、さらに千原ジュニア交えて監督とご本人座談会。
併せて3時間半。

前作の「BOXER JOE」は宇崎竜童主演のドラマもあったけど今回はすべてご本人のインタビュー。
演出のしようがあるのか?
多分途中で眠くなるだろうなあ。
なら抗わずに寝ようと思いきや本編どころか上記の特別篇を併せて最後まで観てしまいました。

辰吉丈一郎ファンでもない自分が飽きずに観たのはやはり笠松則通撮影による画の力強さ、一見ソフトそうでじわじわ対象に迫っていく阪本監督のまなざし故なんでしょう。

余談ですが
タイでの試合でラウンド外の時に辰吉をサポートするスタッフ3人が何故か脳裏に焼き付きました。
特に辰吉の筋肉をほぐしたり、顔にワセリンを塗る入れ墨の青年。
ずいぶん昔「ガチンコ」という番組でガチンコファイトクラブという企画の中、帝拳ジムが取材された時に辰吉を「兄貴」と呼んでた若者だったと思います。彼の体を包み込むような入れ墨と眼光は今でもはっきり覚えてます。どんな経歴で何という名の人なんだろ?幼いころ小便の匂いが立ち込める昭和の通天閣界隈にあんな兄ちゃんをたくさん見たような気がします。