ShojiTaniguchi

ガタカのShojiTaniguchiのレビュー・感想・評価

ガタカ(1997年製作の映画)
5.0
90年代末に公開された寓話的なSF映画だが、21世紀に入ってからの遺伝子工学の加速度的進化と、そのスピードに追いつけない人類の文化的・生物学的なモラルの進化の問題が予見的に描かれている。
そのテーマは古びないどころか、今後の私達にとってさらに重要なものとなっていくはず。
脚本の完成度の高さはもちろんのこと、俳優たちの抑制的だが熱を感じて惹き込まれる演技、マイケル・ナイマンによる至高ともいえる劇伴、いくつかの象徴的なシーンにおけるモチーフのレイアウト等、映画作品としてのレベルが極めて高い。
(特にあるシーンにおける暗喩的な美術のアイデアとその見せ方には驚かされた)
自身の人生とは何なのか、そこにどんな必然性と生きがいを見出すのか。
生まれ落ちた時から宿命が定められているならば、その定めに抗うことは無駄なのだろうか。
抗い乗り越えること、その過程で命を燃やすこと、その小さな歩みの積み重ねこそが人生なのだと、自分は受け取った。
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