ちろる

アズミ・ハルコは行方不明のちろるのレビュー・感想・評価

アズミ・ハルコは行方不明(2016年製作の映画)
3.7
怖いもの知らずで破壊的なJKギャング。
"今"のことしか見えないハタチ。
先の不安がつきまとうアラサー。
若き3世代の女子たちの闇をテンション高めに描いた作品。
とは言っても描かれてる女性たちの像はマジョリティではなくてむしろマイノリティなのでなかなか彼女たちの事は共感しにくい。
しかし男性であるはずの松居監督がここまでフェミニズム全開に男性を不快な存在に描くのもなかなかだな、、と。
山田真歩さん演じる鬱屈とした先輩の静かな毒っ気も好き。
公開当時、わけわからんという声が多くて、役者が魅力的だったものの劇場で観るのを辞めていた本作。
たしかに暴力的なJK集団について特に掘り下げず、あれはちょっとわけわからなかったけれど、高畑充希さん演じるアイナと蒼井優さん演じる安曇春子の鬱屈とした世界の描き方はポップだったのでNetflixで観られてよかった。

プライベートでは数々の共演者の男性たちを虜にする魅力な蒼井優さんが、本作では実に地味なアズミ・ハルコを演じ、個性を最小限に抑えた演技をしているのも良かったし、高畑充希さんの自分を持たない超絶ルーズでうざい女っぷりもハマってて面白かった。

ちなみに先日観た、小津安二郎監督の「東京暮色」では世間の枠に押しつぶされて、逃げきれなくなった女性の姿を描いていたが、今の時代はあの時代と違って逃げる場所はたくさんある。
辛かったり押しつぶされて自分を見失いそうになったらまた新しくリセットしてやり直せばいいだけなんだという救いも見える作品だった。
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