MasaichiYaguchi

キングスマン:ゴールデン・サークルのMasaichiYaguchiのレビュー・感想・評価

4.0
スパイ物映画というと、トム・クルーズ主演の「ミッション:インポッシブル」シリーズや、ダニエル・クレイグ主演の「007」シリーズを思い浮かべる人が多いと思うが、前作やその続編である本作は、そのどちらのシリーズ共に趣が異なる。
強いて言えば、ロジャー・ムーアがエレガントでユーモラスなジェームズ・ボンドを演じた荒唐無稽な「007」シリーズの雰囲気に近いと思う。
世界的にヒットした前作の勢いそのままに、タロン・エガートン、マーク・ストロングが続投するのは勿論のこと、新たにチャニング・テイタム、ジェフ・ブリッジス、ハル・ベリー、敵役のジュリアン・ムーア、そして思わぬ活躍を見せる大物アーティストという豪華キャストで、更に前作で殺された筈のハリー役のコリン・ファースも登場する。
地獄から蘇ったように思えるハリー登場の顛末は映画の中盤で描かれ、このハリーがキーマンとなって作品にハラハラ、ドキドキ度を増す役割を担う。
本作はキングスマンが謎の組織から奇襲攻撃されて壊滅的ダメージを受けたことから、舞台が前作のイギリスからアメリカに移る。
このアメリカでキングスマン生き残りのエグジーとマーリンをアシストするのが、今回登場するアメリカのスパイ機関「ステイツマン」。
このシリーズは遊び心に溢れているが、ネーミングにしてもキングスマンはユナイテッド・キングダムからだし、このステイツマンもユナイテッド・ステイツからもじっている。
そしてキングスマンのファッションがサヴィル・ロウ・スーツで、武器・ガジェットも雨の多いロンドンらしく雨傘だったり、紳士らしく革靴やメガネという英国文化に裏打ちされたもの。
今回はアメリカが舞台なので、コテコテのアメリカンな武器やガジェットが登場する。
更にジュリアン・ムーア演じる敵のアジトが50年代の古き良きアメリカを思わせる佇まいなのも洒落ている。
スパイ物らしくワールドワイドに戦いが繰り広げられるのだが、最終決戦地での展開は笑いも織り交ぜながらもアクションに次ぐアクションでワクワクしてしまう。
ある意味、本作でキングスマンの在り様も大きく変化したが、今後も続くと思われる本シリーズ、次回はどのようなスパイ物を観せてくれるのか楽しみだ!