如月カルラ

バジュランギおじさんと、小さな迷子の如月カルラのレビュー・感想・評価

5.0
パキスタンの山間の村で暮らす、喋れない女の子シャヒーダ。
心配した親がシャヒーダを連れてインドの寺院に祈りを捧げに行くが、なんやかんやあってシャヒーダだけインドに取り残されてしまう。
インドでバジュランギおじさん(パワン)はシャヒーダと出会うが、話す事ができず名前もわからない状態ではビザも取ることができない。
パキスタンの家にシャヒーダを帰してあげたい、バカ程お人好しなパワンとシャヒーダの旅が始まる。

インド映画は実は初視聴なのですが、唐突に踊る!歌う!は伝統なのかな?
観ていてとても楽しかった。
そういった楽しいシーンもありつつ、本作で取り扱っているのは宗教や歴史による国同士のいがみ合い。
宗教、それぞれの考え方の違い、そんなすれ違いが大きな溝になっている状態で、ひたすらにお人好しで正直なパワンと純真なシャヒーダが、人の心を動かしていく。
本当に愛しかない、素晴らしい物語だった。

ビザがない状態なので密入国するしかない、そしたらインドからのスパイだと思われて警察に追われるようになっちゃった!
それはそう!!
っていう突っ込みをしつつも、見知らぬ少女の為に身体を張るバカ正直なパワンだからこそみんなが心を動かされたのは明白。
観客も自然と応援してしまうし、実際終幕後は劇場内で拍手が起こるほど。

パワンを支えたジャーナリストおじさん、嫌な奴っぽいけど国の誇りを守るために動いた警察の人間たち。
最初から偏見なんて持たず接してくれる一般市民も多かった。
ストーリー展開としてはベタな展開だと思う。
でもそれを退屈だと思わせないのは雄大な映像だったり、歌や踊り、パワンのバカ正直さやシャヒーダの可愛さだったり、全てがいい作用をしていたと思う。
もっとたくさんの人に見て欲しい、久しぶりの満点映画。

シャヒーダがパワンの真似して、おでこペチッって叩く「あちゃー」みたいなポーズ、めちゃくちゃかわいかった……。
如月カルラ

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