にゃんこむ

バジュランギおじさんと、小さな迷子のにゃんこむのレビュー・感想・評価

5.0
待ちに待ったインド映画を見てきました!!!!

主演は『タイガー 伝説のスパイ』でも肉体美を披露したサルマーン・カーン!!
ヒロインは『きっと、うまくいく』でもヒロイン役を演じたカリーナー・カプール!!
そして超絶可愛いパキスタン人迷子役のハルシャーリ・マルホトラちゃん!!!

この作品はインド映画らしい義理人情溢れる人間ドラマに、ド派手なアクション、大勢で踊るミュージカルシーンと満点な出来なのですが、さらにインド・パキスタン間の状況などを題材にしており、二国間の情勢をよく知らない私にもわかりやすくお話が進行してきます。

〇パキスタンの山間の村で生まれ育った少女は、6歳になっても喋る事ができなかった。母は村の預言者に相談すると、インドのデリーに行って祈れば帰ってくる頃には喋れるようになる、という助言を貰いインドへ向かう。
デリーで祈りを捧げたあと、帰りの列車に乗る母子。しかし、皆が寝静まった夜、外にいた子ヤギが気になった少女が一人列車から降りてしまう。少女に気づかず列車は発車してしまい、少女は見知らぬ土地でひとりきり。さらに状況は悪化していき……。
そんな中、少女が見つけらのは、大勢の中心になって踊る男、通称・バジュランギだった。

これは、言葉も喋れず、国籍も違う、宗教的にもややこしい関係の少女とおじさんが少女を家まで送り届けようと翻弄するお話。
バジュランギおじさんはハヌマーン信者で、神に誓って嘘をつかない誠実な人。けれどこのお話ではそれが原因で様々なトラブルに発展していきます。
さらに、カシミール戦争後両国の国民に根付いた深い恨みもあり、インドでパキスタン人の少女がいると知れたら命が危ないし、逆もまたしかり。
バジュランギおじさんはとっても良い人なんだけれど、正真正銘のポンコツなのでハラハラします。

迷子の少女は喋れないけれど、表情豊かでとっても可愛い。
とくにバジュランギおじさんがやらかしちゃったときの、額に手を当てて「あちゃー」とするジェスチャーが最高に可愛い!!
大人しそうだけれど、案外悪戯好きで年相応の可愛らしさがあるところも良い!!

列車に乗って迷子になってしまうのは『ライオン 25年目のただいま』っぽいですよね。あの話も貨物列車に誤って乗ってしまい、遠くの地で迷子になってしまうお話でした。

ストーリーを要約してしまえば3行で収まる王道なお話ではあるのですが、バジュランギおじさんと少女が家を探す道中に出会う人々との交流だったり、一見熱心な信者で善良な人だと思われるバジュランギおじさんが、実は宗教熱心すぎて凝り固まった物の見方をする人で、少女と過ごすうちにその偏見が無くなっていき成長したり、その過程が素晴らしいんです。
ラストは感極まって泣いてしまいました。

同じインド映画でも『PK』は宗教の矛盾点をコミカルに暴いた良作でしたが、今作は真逆で宗教を信じる人々を肯定する内容になっています。
けれど、宗教の神自体を肯定しているわけではありません。
異教徒を排除するのではなく、相手の信じている神様と宗教、習慣を尊重しましょう、という内容になっています。
宗教が違っても、国が違っても皆仲良くしようぜ!という映画なんですよね。そこがまたイイ。
にゃんこむ

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