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バジュランギおじさんと、小さな迷子のkiritoのレビュー・感想・評価

4.3
【民衆の叫び】

よくあるご質問
Q この映画を観るにあたってハンカチは必要ですか?
A はい。感動超大作なので、ハンカチを持参されることをお勧めします。

Filmarks内の現在の平均点を見ても『4.3』という高得点をたたき出している本作。
そもそも本作自体2015年の作品であり、DVDを取り寄せてみている人や、インド映画祭等で観ている人が傑作評価をつけるなど依然から話題になっていた。

まあそういうことで、新年初映画デビュー!!は映画のオフ会の後に急遽いくことになったこの映画でした。
(オフ会は高円寺にある『BIG FISH』で行われたのですが、映画愛にあふれた素敵なバーなので東京近郊にいる方はぜひ行ってみてください←唐突な宣伝)

あらすじ↓
パキスタンに住んでいたしゃべれない女の子が、あることで訪れたインドで母とはぐれてしまう。
そんな時、彼女はインドでバジェランギおじさんと名乗る男に出会って・・・

簡単にいうとこんな感じで、具体的なあらすじはアプリ上にあります。

インド映画ということでもちろん唐突なダンスがあります。
「きっとうまくいく」、「PK」、「バーフバリ」等々インド映画はこういうものだと認識されるようになってきているので、インド映画に抵抗がない人はまあ大丈夫だと思います。

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さて、今作。
パキスタンとインドには昔から対立があり、そのひとつの「カシミール紛争」はいまでも両国に影をおとしている。
政治的・宗教的・植民地的な問題も合わさり緊迫しているというそういう歴史的背景を知っているとなおさらこの映画の主人公「バジュランギおじさん」のとった行動が常識では考えらえないことに気づく。

ヒンドゥー教の「ハマヌーン神」については全く知らなかったのだが、その神もキーポイントになっていく。
宗教の力もそうだが、彼自身の中にある「善意」の行動、わかっていても実行できない人の愚かさを彼が行動に移すので自然と同調し応援したくなるのかもしれない。

「善意」は見えず、ただ人種だけで疑ってかかる警察、周囲の人々。
けれども対立する国の中でも人を信じ、助けようとする人たちの暖かさに胸が打たれるとともに、自分もこういう人間でありたいと気づかされる。

インターネットの普及は良い面も悪い面も備えているが、一般人が情報を発信できるようになった点は大きい。
メディアが取り上げなかった小さな事件の端緒。しかしその小さな端緒が国を動かす大きな事件に発展することをメディア側も肝に銘じなければならないだろう。

号泣必至の傑作。
インド🇮🇳とパキスタン🇵🇰の架け橋の一つになればと祈りを込めて。

※声が出ない女の子ハルシャーリ・マルホトラの演技がずば抜けて素晴らしいのでその点もご注目。

2019.1.20
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