フクイヒロシ

ノーマ、世界を変える料理のフクイヒロシのレビュー・感想・評価

ノーマ、世界を変える料理(2015年製作の映画)
4.5
〝今自分が世界のどこにいてどんな季節なのかを知る〟料理。
それがノーマの料理。

今や世界のどんな食材だろうと季節は反対だろうとあらゆる手を使って入手するのが世界の主流だし、そこにステータスを感じることも多い。

しかしノーマはデンマークにあるので食材は北欧のものだけ。


***


「ノーマ レストラン」で検索してもらえればノーマの料理の美しさと独創性は一瞬で理解できます。

エビに黒い点々が付いてる?ゴマかって?
いいえ、蟻です。。


***


マケドニアのイスラム教徒の移民として両親とデンマークで生きることとなった少年。
イスラム系に対する差別はひどかったとのこと。

しかし2003年レストラン「ノーマ」を開店し、2010年からは連続して「世界のベストレストラン50」で第1位。
32歳(2010年当時)にして料理会の頂点に上り詰めてしまった男


そして今や彼を慕って尊敬して集まる世界各国の人々。
しかしBGMは何故かラクリモーサ。
ラクリモーサは〝涙〟を意味する鎮魂歌。

その後、
2013年、客63人がノロウィルス感染。
原因は衛生管理ではなく、ムール貝に蓄積されたものだったと結果が出たが風評被害は収まらず。

さらに、
翌月三つ星を逃し、翌翌月レストラン世界一位から陥落。。

失意の中で、基本に立ち返り彼らは挑戦を続ける。

そして、次のベストレストランの発表。
結果は。。


****


とにかく映像が美しい。
どういうわけだかシェフのレネ・レゼピをはじめとして、スタッフたちがグッドルッキング男女ばかりでそういう意味でも画面がずっと美しい。


マケドニアの田舎生まれの青年の青春物語でもあり、新たな食文化の源流の記録でもある。


***


これ全部、ドキュメンタリーじゃなくてフィクションです、って言われても諦めつくくらいに「映画的」!

全員俳優だと言われてば納得のルックスの良さだし、物語も完璧。

しばらくしたら、映画化されることでしょう。



***


ウニ漁師や野菜農家ら生産者との信頼とも闘いとも説明のつかないシェフ・レネ・レゼピとの関係。

ウマミ、ミソ、ホンダシなど漏れ聞こえてくる日本語も誇らしい。


『築地ワンダーランド』とご一緒にどうぞ。