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ザ・ディスカバリーのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

ザ・ディスカバリー(2017年製作の映画)
4.0
科学者トーマス・ハーバー(ロバート・レッドフォード)は、“死後の世界”の存在を証明したと世間に公表するが、それは皮肉にも世界の自殺予備軍の背中を後押しする形となる。大量の自殺者を出した一連の騒動の半年後、トーマスはテレビ・クルーを自宅に呼びインタビューに応じていた。“死後世界の証明”は厳密には「死後に肉体から離れる脳の波長を補足した」までのものであり、「脳波がどこに行き着くか」までは解明出来ていないものだった。にもかかわらず死後世界発見を発表し100万人もの自殺者を出したトーマスに対しインタビュアーは責任を問う。トーマスが「自分に責任はない」と答える中、番組スタッフの一人がその場で拳銃自殺を行い、その映像が生放送で世に発信されてしまう。
事件から1年半後、トーマスは行方をくらましており、世界は衝撃の自殺映像により400万人にまで自殺者数を増やしていた。そんなある日、トーマスの息子ウィル(ジェイソン・シーゲル)は移動中のフェリーで、アイラ(ルーニー・マーラ)という女性と出会う。アイラは自殺集団の考えは支持していないものの、死後世界はあると考えていたが、ウィルは死後世界の証明が決定的ではないとの立場をとっていて、人々が疑いもせず安易に自殺していくことに苛立ちをおぼえていた。ウィルはアイラに、幼少期の臨死体験の記憶についても語った。ウィルは砂浜に座る男の子を死後世界で見たのだという。
港に迎えに来ていた兄、トビーの車に乗ったウィルはトーマスの邸宅へと向かった。トーマスは人里離れた場所に邸宅を建て、そこを研究拠点にしようとしていたのであった。その邸宅で働く人々は皆、自殺未遂を起こした人間たちだった。トーマスとトビーが部屋に入るとそこではレイシーとクーパーがトーマスの蘇生を試みていた。トーマスを殺したのはレイシーとクーパーだったのだ。ウィルは蘇ったトーマスに死亡率上昇の責任を取るよう糾弾した。
ウィルが浜辺を歩いていると、重い荷物を背負ったアイラが海に入っていくのが見えた。必死の思いでアイラの入水自殺を止めたウィルは、彼女を邸宅へと連れて行くことにした。邸宅で暮らす人々の話し合いの中で、トーマスは「死者が死後世界で見たものを記録できる装置の開発に成功したが、被験者がいない」と言った。そこで、人々は近くの墓地からフィリップスという男の死体を盗み出した。ウィルは子供の頃に母親が自殺してしまったことをアイラに明かした。翌日、トーマスたちは死後世界の記録を取ろうとしたが、何も記録できなかった。実はウィルが装置に仕掛けを施して、映像データが別の場所に転送されるようになっていたのである。転送されたデータを再生すると、そこには病院に向かった男性が誰かを見舞い、女性と口論する様子が記録されていた。データからその病院を割り出したウィルは、現地へと向かったが、データに記録されていた出来事が起きたのが少なくとも10年以上前であることを知っただけに終わった。
実験の失敗の原因を検討するミーティングで、トーマスは機材の不調を邸宅に暮らす人々に言いふらしたレイシーを論難し、ここから出ていくように命じた。ウィルはアイラを先の病院へと連れて行き、そこで録画された映像を見せた。ウィルは「ここに映っているのは死後世界の映像ではないと思う」とアイラに言うのだった。病院内を捜索した2人は、フィリップスの父親のものと思われるカルテを発見した。
トーマスの実験とウィルとアイラの調査の末に、死後世界とされていた世界の真の姿が明るみになってしまう。
死後の世界の存在が実験によって証明され、死後の世界に希望を求めて自殺する人間が増えた近未来で、実験によって証明された死後の世界は本当なのかを探るサスペンス映画。
「死後の世界と思われている映像は、死者の脳に残った過去の残存記憶なのか?」
死後の世界の存在を、科学の視点から追求する展開がサスペンスフルで、ルーニー・マーラ演じるアイラとジェイソン・シーゲル演じるウィルの対照的なコンビの「死後の世界の存在」を探るユニークなバディ関係も面白いけど、ジェイソン・シーゲルだと年齢差があるので当初のキャスティング通りニコラス・ホルトだったら凸凹で対照的だけどユニークな相性のバディ関係が絶妙に描けていただろうと残念。
「死後の世界」の正体は、輪廻転生を絡め「バタフライ・エフェクト」が少し入ったわりとリアリティーがある感じだった。
余韻を残すオチがクセになる映画。
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