岡田准一演じる主人公のモデルになった人物が成しえた事からすれば、決して綺麗事では済まない部分もあったはずだが、そこを抉りとって観せる荒々しさが無い。
得てきた部分の功績を高らかに描くよりも、一人の個人として無くしてきたモノの大きさを痛切に切り取る事で作品としての深みが出ると思うのだ。
それを綾瀬はるか演じる離婚した最初の妻への想いをラストであっさり描く事だけで処理している所が不満。
全体としてはテレビのスペシャルドラマのような作りで物足りない。
映画とドラマは違う。
亡くなった今村昌平が撮ったらさぞやギラギラと泥臭く作ったろうな。