Renkon

ヤクザと憲法のRenkonのレビュー・感想・評価

ヤクザと憲法(2015年製作の映画)
3.7
この作品は「こういう世界も世の中にあります」という投げかけの映画だ。
これといったアンサーも無いし、ヤクザという組織への否定も肯定もしていない。
そんな投げかけに対して僕が真っ先に感じたことは、あと数10年経ったらヤクザという存在自体が激減するんじゃないか?という思いだ。
形は残せど「暴力団」という名前やイメージを変えなければ存続しきれないのではないだろうか。
暴対法が施行されてから、ヤクザもかなり肩身が狭い思いをしているということがよくわかった。
銀行の口座は凍結されるし、保険は解約されるし、子どもは幼稚園に入れられないしと、彼らの悲痛の叫びが今作には詰まっている。
なぜ取材料を一切受け取ることなく、彼らが取材クルーを温かく迎えたかというと、上記の訴えを広めたかったためなのかもしれない。
制作側とヤクザ。今作は双方の利害の一致によって作られた作品なのだろう。

暴対法により抑えつけられるヤクザたち。
ちょっと抑えすぎじゃないか?と思わなくもないが、どうしても肯定する気にはなれない。
今作ではとある組事務所の日常を中心にキャメラが回ってる訳だが、おいちゃん達ほとんど新聞読んでるかタバコ吸ってるかばっかじゃん。。
組長も見かけはカッコよくしてはいるものの、過去の逮捕歴を語る場面で(罪なき一般女性を死に追いやったにも関わらず)「ホンマやったら無罪やで」と全く反省の色が見えない辺りはカッコ悪いなぁ〜と思ってしまった。
結局彼らは「わしら他にいくとこないやろ」という理由でヤクザという世界にとどまっているんじゃないだろうか。
マシンガンや本のクダリは確かに面白いし、普段なかなか入れない世界にキャメラが密着したという意義だけでも充分大きいが(武闘派ヤクザみたいなのがマジこえぇ)観終わった後にはどうしてもモヤモヤした感情ばかりが残ってしまった。
Renkon

Renkon