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さざなみのsomaddesignのレビュー・感想・評価

さざなみ(2015年製作の映画)
5.0
原題「45years」のとおり、土曜日に結婚45周年パーティを目前に控えた月曜日、老夫婦の元に一通の手紙が届く。
50年前に雪山登山で行方不明になってしまった、夫の元恋人の遺体が発見されたという。
「彼女が生きてたら結婚してた?」
「そのつもりだった。」
長年連れ添った熟年夫婦それぞれの胸にさざなみのように変化の波が押し寄せ、二人の絆に亀裂を広げていく。

実際、昨年マッターホルンで45年ぶりに日本人登山家の遺体が見つかったそうで、冷凍保存で遺体が腐らなくて何年もしてから遺体が見つかることもあるんだとか。
何十年もたって見つかった遺体を、その息子さんが引き取りに行くと、冒険に出かけた時のままの姿で見つかって、息子さんの方が年上になっている……なんていう事件が原作のモデルになっているそう。


イギリスの大名優シャーロット・ランプリングと、同じくトム・コートネイの名演は言わずもがな。トム・コートネイが昔の彼女の思い出を語る時の、上の空で目の前の妻を忘れてる感じとか、
夫の心の中でかつての恋人の影が広がっていくのを感じる妻の動揺っぷりとか、なにか派手なセリフがあるわけでないのに
キッチリ観客に共感させてくれる、極めて抑制された名演ひかりまくりでした。

それぞれ60〜70年代を通じて、怒れる若者・カウンターカルチャーのアイコンみたいな、ロックやヒッピー世代だった人たちが45年もたつと、こんなに渋い映画の役者さんになるのかと、不思議なような面白いような。
シャーロット・ランプリングが相変わらずスタイルよくて、
カッコイイお婆ちゃんを維持してるのもスゲエし、
対するトム・コートネイのヨレヨレ具合も好々爺としてて良いです。


ありがちな夫婦再生の物語かと思えば、
熟年夫婦が立ち向かう、それぞれが見てる景色の差や
互いに互いの都合に合わせた役割を演じてるだけかも?
って疑問や不信についての映画に見えました。

すげえラストショット。


今年劇場鑑賞、36本目
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