芹沢由紀子

シティ・オブ・ゴッドの芹沢由紀子のレビュー・感想・評価

シティ・オブ・ゴッド(2002年製作の映画)
4.4
公開当時、できたばかりの六本木ヒルズに見に行った。当時すごい話題で、超満席の映画館で、隣の男性のわきが臭に耐えながら3時間近い長さのこの名作を鑑賞・・・・したと思ったけど、130分だったのね。

いや、内容は濃ゆくて3時間以上に感じた。

原作は登場人物がのべ300人だか600人だか出てくる長編小説らしく、映画も主人公が少年から大人になるまでの20年ほどを描いていて、それはそれは本当に重厚な物語なのだ。
こんな名作を、いまさら私がレビューする必要もないのだが、「マイベストムービー」を設定したくて仕方なくレビューすることにしました。
人生の中の10本に入れたいです。

スタイリッシュな映像とDJばりにクールな選曲。個性豊かな無名俳優たち。
地元のキッズたちをあつめ、何週間も演技のワークショップを受けさせ、「ゴールデンゲート」という短編映画を試験的に撮影。
充分に子役を訓練し、映画慣れさせてから本編を撮影した監督や制作サイドの並々ならぬ情熱が、世界の観客を熱狂させ、ブラジルのファベーラと貧困の連鎖問題を訴えたものすごい熱量の映画。
友人のカメラマンが、20年か30年前に、ブラジルのファベーラの写真を撮りたくて観光ガイドに連れてってくれるように頼んだが、みんな怖がって断られ、それでも町の近くまで車で連れて行ってもらったけど、運転手がブルブル震えてたから、ほんとうにやばいんだと気づいて写真はあきらめてホテルに引き返してきた話を聞いたから、これはマジで作り物とかじゃなくて実話なんだと思う。

だけど、小難しい内容ではなく、ごく普通の良識をもった主人公の目線から描かれたシンプルなストーリー。

周りの不良のリッチな生活に理不尽を感じた主人公が、自分も悪党になろうとしてバス強盗を試みるが失敗したりするシーンがなんとも好き。
個人的には黒人俳優たちの中でキラリ光っていたにんじんヒョヌーラの役者さんが好き。
芹沢由紀子

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