「新文芸坐シネマテーク vol.48/驚天動地_。ヤンチョー・ミクローシュ」で鑑賞。
1917年の“10月革命“で政権を握ったボリシェヴィキとレーニンの支持者たちによる社会主義信奉者の“赤軍“(革命軍)と、彼らに敵対する“白軍“(反革命軍)との内戦が激化する1918年のロシア。
ヴォルガ川周辺が舞台だが、大寺さん解説によると、撮影はハンガリーとのこと。
ヤンチョー・ミクローシュ監督作品は、ウド・キア目当てで「ハンガリアン狂詩曲」(1979年)しか観たことがなかったので、今回の3作上映はとても嬉しい。
内戦には第一次大戦で捕虜となったハンガリー人も巻き込まれる。
白軍の将校が、捕まった兵士たちをジーッと見て、お前はハンガリー人だなって言い当てるのすごい。
逃げろって言っておいて、ウサギ狩りのように追い詰めて皆殺しにするのはエグい。
でもそれは立場が代われば赤も白も同じで、まず裸にしてから容赦なく相手を撃ち殺しゴミのように捨てる。
すぐ裸にするっていうのはどうしてなんだろう。
もちろん尊厳を奪うという目的もあるのだろうが、敵と味方が入り乱れ、場合によっては下っ端の兵士が赤白入れ代わるという状況にあって、軍服を着ていない人間は撃ち殺してOKという見極めなのかも。
民間人の農民の女性や看護婦たち(特に美人)も酷い目にあう。
英雄もいない。
どちらの軍にも肩入れせず、反戦を声高に叫ぶでもない。
しかし、限りなくたくさんの血が流れたこの悲惨な内戦により、生まれたソ連という国に、また複雑な思いを持ってしまった。