昨年の新文芸坐ヤンチョーを全部残業で逃しているのが今になって痛い──よく言う“バキバキにキマったショット”しかない。凄いものを観た。ロシア革命後のヴォルガ川沿いを舞台に赤軍(共産党革命側)と白軍(帝国軍反革命側)の衝突を描く。ロングショットを多用した文字通り突き放したような人間描写。赤軍と白軍、革命と反革命、ロシア人とハンガリー人、軍人と民間人、善と悪。そういった色分けが無い。むしろ渾然一体となって区別がつかなくなっていく。残された区別は生と死(かすかに男と女)だけではなかろうか。ただ殺す人間と殺される人間がそこにいる。無情の真理を突きつけられる傑作でした。
【死ぬまでに観たい映画1001本(第五版)】
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