大根監督・最高傑作!と言い切ってしまいます。
実は、これまでの大根監督の演出は、あまり好きではありませんでした。
何か、取り上げているテーマや俳優さん達の力を信じないで、あくまで自分。内容よりも、自分を押し通している様に感じたからです。
だけど、今作は全然違う。まず、こんなに全てのキャスティングがハマっている映画、滅多にない…見事です。
全員が全員、登場人物そのものとして、そこに存在しているんですよ?もう、この時点で勝利確定です。
大根監督の、キャストを信じて任せた演出の素晴らしさもあるけれど、それに応えている、キャストの皆さんの演技も素晴らしいです。
また、福山さんは[真夏の方程式]以降、スクリーンが似合う、風格みたいなものがありますね。
今作でも、福山さん絡みのシーンは、全部すごく良い。まるで、セントラルアーツ作品のように、大人っぽくカッコ良い映像です。
内容としては、ざっくり言うと、人生を重ねていく中で、夢の崖っぷちまで来てしまった男が、1人の天使と出逢い、また、仲間の助けによって夢を取り戻す物語。
そう、[ロッキー]です!
ロッキーが、アポロと闘うことを決意した時点で、物語のテーマ的には昇華しており、実際のアポロ戦のシーンは不要であるのと同じく、今作も、そのテーマ自体は、物語上のクライマックス手前でちゃんと昇華させている…のですが、あのクライマックス!泣
最後に残った、過去の悔いの清算と欠けがえのない友情。理由は、たった1つではないけれど、切な過ぎます…。
決して駄目という訳ではないけれど、何故、あの結末にしたのか、大根監督の話が聞きたいです。
表面上で展開される、物語だけ観ても楽しめる作品ですが、それだけでは勿体ない。
1シーンごとに込められた、情熱の量が凄まじく、表面上の情報から読み取って、もっと深く考えることができる作品です。
観る方の、これまでの人生経験や現在の状況によって、評価に幅が出てしまうかと思いますが、俺には響きました。素晴らしい映画だと思います!