エンポリオ

アノマリサのエンポリオのネタバレレビュー・内容・結末

アノマリサ(2015年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

模型に仮託された人間の揺らぎ、軋み。
作品世界や環境には大きな変化がなく終始落ち着いた物語に感じられるが、その反面マイケルの抱く飽和した自己が作品に動きを与えている。人間をより人間として描くために用いられた模型が、模型として、アニメーション映画として、より一層人間を人間として映し出していた。
登場人物の声を無理なく同一化したり、呼吸を司る鼻と口を取り外してみたりとアニメーション映画としての利点を活用した表現が作品の根幹とも言えるマイケルの苦しみを鮮やかに描いていた。
マイケルという悩める男の単純な、しかし多少凝った作りの、物語と片付けてしまうには惜しい、やり場のないエネルギーに満ちあふれた作品であるように思えた。性描写に限らず、アニメーションという手法を採ったからこそ観やすく、マイルドな仕上がりになっている、優れた作品だと思う。
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