エンポリオさんの映画レビュー・感想・評価

エンポリオ

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エクス・マキナ(2015年製作の映画)

1.8

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アカデミー賞は、視覚効果賞部門での受賞です。
導入の部分から中盤辺りまで、所々に散りばめられる不審点を気にしつつも、基本的には映像と張り詰めた空気感に見入ってしまった。ただ、緊張感も緩み始め、人物関係
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ラッキー(2017年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

人類が持ち続ける永遠の課題、そして背中合わせの儚い希求。
老いやそれに付された人間の尊厳を主題とする映画作品は数えきれぬ程あれど、ここまで好きな作品は幾つもないように思う。回避し得ない老化や生き永らえ
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葛城事件(2016年製作の映画)

4.6

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ひたすらに剥き出しであるが故に、原型など最早、ない。
映画作品を観ていて普段あまり感じない感覚だが、良質な小説を読んだ読後感に近い状態を、今作鑑賞後に味わった。提起される話題はもちろん、何度か挟み込ま
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3月のライオン 後編(2017年製作の映画)

2.6

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スピンオフ、宗谷にスポット当てたものを一本、是非。
前編に引き続き、実は一向に自立の気配が見られぬ主人公の内面。その成長を中心に据えた印象の後編。その中における、宗谷2八銀打からの自分語りは、表現とし
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3月のライオン 前編(2017年製作の映画)

3.4

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ものすごく肯定的な意味合いで、さすが漫画。
心理描写、取捨選択に無理がなく、飲み込みやすく、感情移入しやすい、とても観やすい作品だった。しかし、将棋という、現代の、特に若者にとってはマイナースポーツと
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ディア・ハンター(1978年製作の映画)

4.8

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生活を元手とする日常とそこに潜り込む狂気。
所謂戦争映画とは、戦争そのもの、またその功罪の描き方という点で一線を画する作品。戦争そのものが物語の軸に据えられる展開が非常に少なく、具体的な意味での、戦争
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火花(2017年製作の映画)

4.7

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お笑いの行き着く先は。
お笑いというものをあんまり、ハッキリとは象らないでいてほしい。「火花」周辺だけでなく、お笑いに関わる様々な物に対して、そう思う。皆が同じように、それぞれの人生を生きていく中で、
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草原の実験(2014年製作の映画)

5.0

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そこにあったかもしれない言葉。
これは凄い。圧倒的な作品だった。
最終盤に向けた全てが単なるどんでん返しのための伏線ではなく、それ自体で意味を持っている。
クライマックスまでに感じる、文化的な溝などで
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アヒルと鴨のコインロッカー(2006年製作の映画)

4.7

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吸わないのは、吸えないからだろうか。
原作者他作品諸共に共通して他を圧倒する構成力。言わずもがな今作品にも光っていて、ああ映像は映像で良いな、と思わされた。
ただまあ、素晴らしい作りの割に悪役が安直す
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ムーンライト(2016年製作の映画)

3.8

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何よりもドキュメンタリー。
マイノリティの中のマイノリティへと、シャロンの世界は構築されていく。唯一心を許した友であったケヴィンとも、その拳ではなく家庭を築いていたという事実によって区別されていく。
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blank13(2017年製作の映画)

2.0

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フライングしてしまったの、かも。
事実に基づいている、らしい。だから良いとも、だから悪いとも影響せず、ただただ不可解な作品だった。見えない部分があそこまで非現実的な彩りを見せているのが、面白さなのだろ
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ジュマンジ(1995年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

異空間ジュマンジ。
記憶の最も古い部分に収まり、眠っていた作品。ピーターが車に逃げ込むシーンだけを、鮮明に覚えていた。小さい頃に見せられて、見せようとしたその気持ちが、大人の立場に回ってみて、よく分か
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かぞくのくに(2012年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

個人ではどうにも、国同士の話なので。
区切る点を見つけるのは必要。だが、そこからどれだけ繋げて、繋がっていけるのか。一人ひとりでは無力な個人が生きる国とは、一体どのような生き物なのか。
本作に現われる
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ドゥ・ザ・ライト・シング(1989年製作の映画)

2.9

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今後も必要とされるであろう名作。
実力行使によるボイコットからの暴動、騒ぎに至る以前から、生活の隅々にまで社会構造がそのまま表出している。これをすんなりと、素直に描けるのは、乱暴なようでいてどこまでも
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日日是好日(2018年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

動と静。変動し続ける時代の中で。
お茶、茶道を通じて織りなされる人間模様と人生とを描いた物語。樹木希林でなければ完成しなかったのでは、と思わせる程のものがあった。ただ、樹木希林が出演している、というこ
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ブルー・リベンジ(2013年製作の映画)

2.0

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うひゃ~うひゃひゃ~
サスペンスの筋書きとしての温度感を、リアリティを備えすぎたヴァイオレンスが優に越えていっているように感じられた。なんならストーリーが戦闘や暴力的なシーンを継ぐ役目のようにすら、い
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バンカー77(原題)(2016年製作の映画)

2.7

このレビューはネタバレを含みます

27歳の若さで夭逝したサーファー、バンカーとは何者だったのか。
伝説のサーファー、バンカーの生涯を追ったドキュメンタリー映画。稀代の才能がいかにして浮上し、急降下していったのか、実にハッキリと描かれて
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ファイティング・ファミリー(2019年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

再生へと向かう家族の物語。
試写会にて鑑賞させていただいた作品。ドキュメンタリーではないが、事実に基づいたお話であり、所々実際の映像や人物も盛り込まれていて臨場感が凄まじかった。
プロレスを愛する家族
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宮本から君へ(2019年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

底なしの馬鹿者。
ドラマ版がものすごく好みで劇場版も観に行くことに。宮本の強さだと思っていたものが劇場版とドラマ版とでは大きく違って描かれていた。
どちらの強さも男としての強さであることには変わりない
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ベイビーブラザー(2010年製作の映画)

1.5

このレビューはネタバレを含みます

人間味の必要なストーリー。
本来面白みのある物語になる筈の筋書きが映画の枠に収まってしまうことで味気なく思われてしまうことは往々にしてあることだと思われる。
二人して頭を丸めた時には、これで兄弟三人と
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オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分(2013年製作の映画)

1.5

このレビューはネタバレを含みます

ワンシチュエーションで作り上げる時、その奥まで首を突っ込ませる程の魅力と移っていかない状況に耐え得るだけの物語、そして言うまでもなく飽きさせないための工夫が必要と考えられる。

アス(2019年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

今までに観てきた映画作品の中で頭抜けて苦手だったゲットアウトを越えていくために、足を運んだ。
モノ凄かった。緩急があって、受け止める側の幅が広く構えられているように思われた。
ただ、誰かにお勧めは、な
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ブレードランナー ファイナル・カット(2007年製作の映画)

1.3

このレビューはネタバレを含みます

まさに予想外のどんでん返し。
2019年、人間生活に潜り込んだ人造人間レプリカントを叩くため、ブレードランナーはその身を賭して闘っていた。
見出し文の次にあらすじを書くという作りでレビューしているが、
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半落ち(2003年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

殺した者と殺してやれなかった者、殺さない者。
自らの妻を殺害して出頭した元警部、梶。殺害を認める彼の取り調べは完落ちとしてすぐさま済まされるかと思われたが、殺害から出頭までの二日間を断固打ち明けない梶
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LION ライオン 25年目のただいま(2015年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

まんまとやられる最終盤。
幼い頃に兄とはぐれたサルーは偶然乗り合わせた汽車のため遠く故郷を離れ、カルカッタの孤児院を経てオーストラリアの温かい家庭へと、いつの間にか養子にもらわれていた。大人になったサ
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オール・アイズ・オン・ミー(2017年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

Why me?
USヒップホップ界で最大規模のセールスを誇ったラッパー、2PAC。掴んだ成功の未だ発展途上において彼が迎えた死までの人生を辿る。
71年から96年までの彼の人生を丸ごと追いかけている作
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ラヂオの時間(1997年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

しかしラヂオドラマはやっぱり良いですねえ。
とあるラジオ局のとあるブース。ゴールデンタイムに生放送で送るラジオドラマに向けた打ち合わせが進められていた。我が儘言いたい放題の役者、無事に終わらせることを
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マネーモンスター(2016年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

目に見えないモノの責任は誰に問えばいい?
金融情報番組のメインキャスターを務めるリー。いつものように軽妙なトークで放送をしていたある日、スタジオは武装した青年にジャックされる。リーの助言に従ったがため
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ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書(2017年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

日本ではなかなか味わいにくい空気感に緊張と興奮を覚える。
終わりを迎えようとしないベトナム戦争の末期、ニューヨークタイムズ紙は全米に留まらず全世界を震わすニュースを報道した。正義、世界秩序の安定を大義
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いぬやしき(2018年製作の映画)

2.2

このレビューはネタバレを含みます

人間はその話を後回しには、なかなか出来ないのよ。
家庭でもオフィスでも居場所を見出せない親父、犬屋敷。彼に唯一なついてくれる捨て犬の花子と出かけた夜公園で、彼は不思議な光に包まれる。人間の見た目にハイ
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マッドマックス 怒りのデス・ロード(2015年製作の映画)

2.3

このレビューはネタバレを含みます

狂ってしまったのは俺か、それともこの世界か。
水も食料も生活に必要なものが何もかも枯渇してしまった世界。その世界の一角にはジョーという王が君臨していた。ライフラインから人命に至るまでの全てを掌握したジ
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さよなら、人類(2014年製作の映画)

2.7

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待ってくれ、頼むからそんなに置いていかないでくれ。
面白グッズを売り歩く行商人のサムとヨナタン。この二人が行く先に待ち受けているのは、人々のどのような人生なのか。
これほどまでに理解しきれない作品は初
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アメリカン・アニマルズ(2018年製作の映画)

3.2

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これは実話に基づいた作品ではない。
アメリカの大学生グループ四人が実際に起こした事件に取材した作品。自らの人生に足りない何かが目の前で光るように思えた時、人間としての理性と動物としての野生性とが線上で
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オアシス:スーパーソニック(2016年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

だから好きだし、じゃなきゃ好きじゃない。
イギリスを代表するロックバンドオアシス。ノエルとリアムのギャラガー兄弟を中心としたブリットポップの王様はどのようにして成長し、どのようして伝説の歴史を辿ってき
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それでもボクはやってない(2007年製作の映画)

2.9

このレビューはネタバレを含みます

裁かれるのは犯人ではなく、被告人だ。
満員電車で痴漢に間違われ現行犯逮捕されたフリーターの徹平。友人や母、弁護団の応援を受け濡れ衣の罪を晴らそうとするが。
全体として、長めの教則VTRという印象だった
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パス・オーバー(2018年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

分からなくとも、掴めなくとも。
街灯の下、日々を過ごす二人の青年。繰り返される日々は鬱屈と恐怖に満ちている。彼らはどこかに行けるのだろうか。
凄いな、本当に。言うまでもなく、分かったこと、理解出来たこ
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