玻璃

リップヴァンウィンクルの花嫁の玻璃のレビュー・感想・評価

4.5
ポスターやタイトルの柔らかさからは想像し得なかった、そこはかとない気持ち悪さが漂う序盤。これはきっと、流されて生きる七海の薄暗い感情と比例している。
まるで大人になりきれていない少女のようだった。そんな七海を見ていると、彼女はいったいどこへゆくのだろうと不安さえ覚える。
そこから一転、真白という女性に出会ったことで七海自身にも変化が訪れ、物語自体も幻想のような、幸せに満ちた世界に変わる。
3時間という長尺だけれど、美しい映像と音楽のおかげで苦になることもなく、鑑賞後はなんとも不思議な気持ちになる映画だった。

人と人の繋がり方ってなにも、友情 恋愛 性愛 結婚に限られたものではないと思う。
友情を越えた、恋愛とはまた別の愛だってあると思うし、ひとりひとりに、違った幸せのかたちがある。
今の社会では枠からずれていると白い目で見られてしまうし、他人と比べられ評価されるあまり、私たちは自分自身で幸せを感じる心のシャッターを閉め切ってしまっているのかもしれないと感じた。
本当は、この世界は幸せだらけなのに。
玻璃

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