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リップヴァンウィンクルの花嫁のminamiのレビュー・感想・評価

2.5
岩井俊二作品は特にすきなわけでもないのだけど、今回(『キリエのうた』上映を記念して期間限定で岩井俊二映画祭開催中)のようにYouTubeで無料配信など始まればなんとなく観てしまうのが不思議。

あらすじによると現代版『女の一生』だそうですが、たしかに数多な不幸を経験しながら生きていく主人公の姿はいかにもという感じ。
だけど、前半の主人公には何度もイライラさせられてしまった……。

二人暮らしで夫のいないときにやってきた見知らぬ男性のインターフォン越しの「あなたの旦那、不倫していますよ」の声におとなしく従ってドアを開けて中に入れるとか、ホテルで二人きりで会うとか、信じられない行動がたくさんあって「???」がいっぱいだった。

たとえばその状況でなんらかの被害にあったとき、もちろん悪いのは加害者に違いないけれど、とはいえ「現代版」女の一生なのであれば、この時代に自身へ降りかかるいかなる危険リスクを踏まえず、赤の他人の男性と密室で二人きりになるシチュエーションを選択する女性は本当に数少ないのでは。

ここはもう少し、結婚式に出席していて顔見知りだとか、この男性への警戒心を主人公が解いてしまう、信頼してしまう脈絡が欲しかったです。
まぁそれ以外にも、とにかく自我がなくてなんでも従うだけっていうシーンは多かったけど。
個人的には上に挙げたシーンにものすごくイライラしてしまった。

後半からはファンタジー要素が強くなる面もあってか、イライラする要素はなくなり、眉間のしわを解いて観ることができた。

特にウェディングドレス姿で七海と真白がきゃっきゃはしゃぐシーンはほっこりしたし、あれぞ岩井作品の真骨頂という感じ。
『花とアリス』のチュチュ姿の少女たちがたわむれるシーンを思い出した。

3時間の長尺だけど(完全版は260分らしい!)、意外と長さはさほど感じない。
そりゃ、人生を描くには3時間なんかじゃ短いくらいよね。

綾野剛の胡散臭さ(もちろん演技上)最高だったな。
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