岩井俊二は、特別だ。
あの頃、夢中になって全ての作品を観た。
中でも、"打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?"は、今でも、俺の心の中にずっとある、とても大切な作品です。
だけど、岩井さんの近年の活動には、どうしちゃったのかなと思っていたし、はっきり好きじゃなかったんだけど……!ど!!どどど!!!
キ!キキ、キターーーッ!!この映画、超・大大大傑作でしたーーッ!!!
岩井さん、やっぱり凄いんじゃん!これだよ、これを待ってたんですよ!巷に溢れる邦画とは格が違う!!
どこからどこまでも、岩井さんらしいのだけれど、その全てが素晴らしい。
まず、映像美。こんなに美しい映像作品は、これまで見たことがない。それは、デジタルでいじくり回して加工したような、嘘の美しさじゃない。一線を画した素晴らしさ。美しいって、こういう事だよ。
演出も、岩井さん独特の、芸術性と庶民的というか下世話感とのバランスが絶妙です。
ストーリーや語り口も好き。
主人公は、あくまで普通の人。普通に暮らしているだけなんだけど、いくら自分が悪いことをしていなくたって、色んなことは起こる。生きていくって、ままならない。
だけど、それまでの日常から視点が外れた途端、毎日が慌ただしくもキラキラと彩られていく。
ただ、それは以前の自分には見えていなかった、気付けていなかっただけで、常に周りにいっぱいあったこと。そんなことを描いている、と俺は感じました。
キャストの演技も凄かったぁ〜。黒木華さんとCOCCOさんは、劇中の人物そのものとしてそこに存在しているし、何よりその魅力に圧倒されました。
綾野剛さんを始め、2人を取り巻く皆さんも多少ステレオタイプではあるけど、それも狙いですね、素晴らしかったです。
3時間と長尺ですが、無駄なシーンなど無く、その時間自体もメッセージです。
ぜひ、多くの皆さんに映画館のスクリーンで観て欲しい。
きっと、人生の大切な映画になるよ。