月下香

リップヴァンウィンクルの花嫁の月下香のネタバレレビュー・内容・結末

3.8

このレビューはネタバレを含みます

🌙2025.02.12_51

“Rip Van Winkle”
...時代遅れの人、眠ってばかりいる人

半分ぐらいまでは主人公が本当に幸せに見えなくて不幸で苦しかった。なんとなくで結婚した相手、過保護な義母に浮気の濡れ衣を着せられた上に家を追い出されて離婚、仕事も契約終了、実両親も離婚。
結婚式に親族代理として出席したことで好転し始めたように見えた彼女の人生。それも真白の死によって崩れる。それでも新たな場所でやり直そうと立ち上がる彼女はとても素敵に見えた。

「この世界は優しいんだよ」と泣く真白が悲しい。本当はそんなこと全く思ってなさそうで、ただ自分に言い聞かせるためにそう言っているだけみたいに見える。

そして私は安室という男が心底怖かった。一見優しく見えるけれど、相手の願う安室像を見事に演じてのける掴みどころの無い性格が恐ろしい。真白の母が泣きながら服を脱ぎ始めた時も初めは戸惑い止めようとする。それでも彼女のやっていることを瞬時に理解し、迷う事なく自分も服を脱ぎ始めて号泣。七海に対してもずっと同じように七海がやってほしいことをこなしているだけのように見えた。怪しい仕事で正体不明の男。それでもみんなが頼ってしまいたくなる気持ちも分かる。その絶妙な雰囲気を出していた綾野剛すごいなと思った。

あと七海と真白が暮らしていた場所、以前訪れたことのあるレストラン“アルベルゴ・バンブー”でビックリ。とても素敵な雰囲気のレストランだったからこの映画にピッタリ。

ウェディングドレスを着た2人のシーンがハイライト。タイトルの意味を理解して落ち込んで、それでも良い映画だったなと思う。そんな映画。
月下香

月下香