[ポーランドの『スティング』は亜流に過ぎない]　60点

以前ポーランド映画祭で上映されたらしいマチュルスキの犯罪コメディ。明らかに『スティング』のパクリで、主演のおじさんもポール・ニューマンそっくり。題名も"大逆転"という同じ様な意味らしい。ラストカットも伏線回収ではあるものの、『スティング』の仲間集めシーンでの鼻をこするやつに似た耳を引っ張るってのはなんだかなぁと思ってしまう。比べるなって話ね、多分。

名金庫破りクイントが出獄すると、昔の仲間が銀行に金を騙し取られて亡くなっており、その銀行家クラメルの罪をかぶって服役していたクイントはブチギレる。という、なんとも『オーシャンズ11』っぽい展開。しかし、クイントに協力してくれる若者二人があまりにも無個性過ぎて、ただのチンピラにしか見えない。『オーシャンズ』シリーズにしろ『スティング』にしろ、台詞のある中心人物にはそれなりの背景と得意分野があったが、本作品では人数集めにしか見えなかっった。

この手の映画にしては絡んでくる人数が明らかに少ないので、偶然そうなっている→いや違う！そうだったのか！とはならない。"あぁこの人は偶然じゃなくて引っ掛けにいってるなぁ、尺的にも"と思ってしまう。現代のどんでん返しだらけなジェットコースターに慣れてしまった人間から観れば、かなり薄味に感じるのは仕方がないのかもしれない。不自然すぎて、どんでん返しのために作られた絶望的につまらない映画『クリミナル』を思い出してしまった。

ポーランドではヒットしたのか、続編が作られている。刑務所に送られたクラメルが脱獄し、クイントをムショにぶち込むために奔走するらしい。観る気は…失ったよね。

• #EEMofOdessa
• #2019ofOdessa

ポーランド映画祭2015。刑務所帰りの金庫破りクウィントを取り巻き出来上がる即席窃盗集団の痛快なクライム・コメディ。事の背景から周到な事前準備までしっかり見せる物語自体も面白いが軽妙でテンポ良いカットも飽きさせない。

ヴァバンクの意味するところは「大逆転」
つまり同時期のアメリカ映画「スティング」と同じ意味のタイトルがつけられている。

内容も完全にスティングを意識していて、悪党との騙し合い、どたばたの強奪劇のあと、ラストにはどんでん返しが待っている。
元のスティングよりプロット的に読めちゃう部分は大きいけど、元ネタと比べるのは野暮だろう。



政治情勢などもあいまって暗い雰囲気のたちこめ、映像作品も白黒に冗長な描写や政治主張のつよい作品が多いイメージだった当時のポーランドで、犯罪コメディをやったというのは実はとても立派なことだったのだろう。

しかし、コメディなのに妙に静かでテンポが遅い感じ、なんなんだろう。
これ、チェブラーシュカ見たときも思ってんなー。