JAmmyWAng

ミュージアムのJAmmyWAngのネタバレレビュー・内容・結末

ミュージアム(2016年製作の映画)
3.1

このレビューはネタバレを含みます

陰鬱な雰囲気の中で緊張感を保ったままテンポ良く話が進み、凄惨な死体の見せ方にも品があってとても楽しく見ていたのですが、残念ながら終盤は既視感のあるグダグダ展開が繰り広げられてしまいました。

小栗旬の心情がモノローグで直接的に語られ出してから、一気に説明的で冗長な演出に変わっていってしまったと思うのです。

見ていれば分かることをモノローグで説明したり、小栗旬の演技についても、中盤の警察所内での叫びは迫真的で良かったんだけど、終盤の一連の叫びはもう「叫ぶために叫んでいる」という感じでうるさい。この人は回想でもワーワー叫んでたので最早笑いましたが、クライマックスで子供よりギャーギャーうるさいのはさすがに如何なものかと。叫ばなくてもお前の悲痛さは伝わってるから大丈夫だよ、と思うのですが。

犯人についても、自身が表現者であり崇高なアーティスト様であらせられることを揚々としたイントネーションで語られるのですが、それを見ているこっちが恥ずかしい。「私は表現者だ」とか「私はアーティストだ」とか、自己規定とその誇示を世界に向けて繰り返すのならば、「アイム・チョーノ!」ぐらい揺るぎないものでないと、聞いている皆が辛いだけです。

ただ喋らなければコイツは出来るヤツだったと思うんだけど、それでも終盤になると都合良く手際が悪くなっていくという。「違う!お前の力はそんなもんじゃないはずだ!そうか、脚本か!脚本のせいだな!?」と、メタ的な要因で本気が出せないコイツを哀れにも感じました。

という感じで終盤が残念でしたが、それまではちゃんと楽しかったので、全然嫌いではないです。ですが、『和製「セブン」だ』とかは、ちょっと言って欲しくないなぁと個人的には思います。
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