デニロ

エミアビのはじまりとはじまりのデニロのレビュー・感想・評価

3.5
新聞で黒木華の怪演、と書いてあったので。テレビドラマ『リーガルハイ』のハイテンション弁護士を髣髴とさせる演技をしているのかと楽しみに出かけた。その記事を目にしなければ彼女が出演しているとも知らずに見落としていたはずだ。

化粧品の製品名のような題名のためかエミビアと覚えてしまっていたが、劇中のエミアビの所以を聞いて以後間違えることはなくなった。

さて、物語は漫才師が自動車事故で同乗の女性と共に亡くなってしまうところが起点になる。漫才師の片割れが死んでしまってどうしようかとかんがえている相方と、同乗していた女性の兄であり彼らの先輩の元お笑い芸人の相克。二人とも大切な人を失ったという感情の量を制御できなくてボロボロになっている。

相方が立ち直ろうとしたのは死ぬ直前の相方の必死の一発芸。そんな馬鹿なと思いながらも、信ずる者は救われる。対して兄のほうは、ひょんなことから人を笑わせなくてはならなくなりお笑い芸をするのだが、それがちっとも面白くない。その芸の最中に起こった超常現象もどきで救われる。

死んだ二人も宝冠を付けて亡霊として出てきたりして賑やかなんだけど、筋運びのテンポに隙間のある感じでかなりしんどい。兄役の新井浩文がよかった。

お目当ての黒木華。どこが怪演なんだか。あの記事を書いた記者はきっとただのファンだ。
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