けまろう

裸足の季節のけまろうのネタバレレビュー・内容・結末

裸足の季節(2015年製作の映画)
4.4

このレビューはネタバレを含みます

『裸足の季節』鑑賞。仲良し5人姉妹が厳しい叔父の元に閉じ込められ、次々と自由を奪われていく話。末っ子である主人公のラーレは不自由さに苦を感じ、姉妹たちにイスタンブールへの逃亡を提案するも、年上の姉長女のソナイと次女のセルマは叔父や祖母がアレンジした婚姻話を受け入れてしまう。三女のエジェは最初婚姻を認めるものの、苦悩した挙句自殺。これは(私は観ていないが)『ヴァージン・スーサイド』を意識したものだろうか。そして、四女のヌルへの婚姻が結ばれそうになったとき、ラーレはついに行動を起こす。ヌルと一緒にイスタンブールへと逃げ出したのだ。最後、イスタンブールで嘗ての教師と再会し、ラーレは母親に泣きつくようにハグをし終わりを迎える。
文化的なものなのか、処女に対する強い拘りが印象的であった。少しでも疑わしければ病院で検査を実施させるほど厳格なのだった。ソナイは既に居た恋人とはアナルセックスをすることで処女を貫き、婚姻後の初体験で血が出なかったセルマは嫌疑をかけられて病院につれていかれる。その際、セルマが放った「処女だって言っても誰も信じてくれない」という力のない呟きが処女に拘る旧態然とした文化(父権的文化も含め)を暗に否定しているようです。
ソナイとセルマは結婚し、エジェは苦悩し自殺、ヌルとラーレは逃亡と、5人姉妹の態度が違っていたのは何故か。それこそが「夢みる季節は終わりが来るから」というこの映画の謳い文句の伝えたいことなのだろう。年上の姉たちは夢から醒め、大人として現実と折り合いをつけるために結婚し、大人になりかけだったエジェは夢と現実の狭間で苦悩した挙句に自殺の結末を迎える。しかし、ラーレの夢はまだ終わっていない。夢の続きを見るために、彼女はイスタンブールへと向かったのだ。
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