しろくま

ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出のしろくまのレビュー・感想・評価

4.0
2022.02.16/039/TV録画
1945年の戦勝記念日の夜、勝利で溢れ返るロンドンの街へ初めてお忍びで外出した英国王女エリザベスとマーガレット。二人は護衛の目を盗んで、ホテルを飛び出すが…。

プリンセスのお忍び大冒険って言うと〝ローマの休日〟が有名だけど、本作の前半は、ロンドンの街中を勝手気ままに遊びまわる自由奔放な妹のマーガレットをひたすら探し回る責任感の強い姉エリザベスの追いかけっこが描かれていて、〝ローマの休日〟のようなロマンチックな感じはない。

妹マーガレットの行動はとにかく危なっかしくてハラハラするし、しっかり者の姉エリザベスも街中に出るのは初めてでおもいっきり世間知らず。そんなエリザベスをバスで知り合ったジャックが面倒を見る羽目に。行動を共にするうちに徐々に親密になっていく二人の関係がいいね。

父親の国王ジョージ6世のスピーチが始まるときにエリザベスが〝聞くのが怖いわ〟と言ったのは映画〝英国王のスピーチ〟を観ている者にとっては、そうそうと思ってしまう一言。スピーチが始まると、歌を歌って盛り上がっていた酒場が静まり返り聞き入る人々。そして〝国王に〟の掛け声で乾杯。人々が国王を信任しているのを感じるエリザベスだったが…。

しかし〝薄っぺらい言葉だな。何も知らないくせに〟とつぶやき、戦争の悲惨さを話すジャック。戦争の爆撃を受けて崩れかけた街並みを目の当たりにし、〝国民の反応を知りたいでしょう。みんなの本音を〟と父親と約束していたことを思い出すエリザベス。喜びを示す人々も長く続いた戦争に傷つき、悲しみを抱えていたということを。

妹を見つけてからの後半は、エリザベスとジャックは急接近。名残惜しそうな感じが伝わってきてキュンキュンするし、別れが切ないね。

軽快なビッグバンドの音楽も、おバカな護衛のコミカルなところも、王女と分かった時の凛とした感じも、恋バナも、成長していく感じも好きな絶対お勧めの映画だね。
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