こなつ

プロヴァンスの休日のこなつのレビュー・感想・評価

プロヴァンスの休日(2014年製作の映画)
4.0
何とも心温まる物語だった。ジャン・レノ演じる気難しいが、ワイルドで温かなポール爺さんが素敵過ぎる。プロヴァンスの美しい風景が心を癒してくれるヒューマンドラマ。

パリに住むアドリアン、レア、テオの3兄弟は、母親の仕事の都合で母方の祖父母が暮らす南フランスのプロヴァンスで夏休みの2ヶ月を過ごすことになる。祖父と母親には確執があり、孫たちは祖父ポール(ジャン・レノ)と一度も会ったことがなかった。祖父母は、町から車で2キロほど離れた広大な土地でオリーブ農園を営んでいる。携帯の電波も悪く、あまりの田舎に都会しか知らないアドリアンやレアは不機嫌で、頑固な祖父にもなかなか馴染めない。それでも、生まれつき聴覚障害のある末っ子テオがポールを慕い始めたことがきっかけで、少しずつ距離が縮まっていく。

頑固でクセのあるおじいさんだけど、何処か温かく愛情あるポールをジャン・レノが好演。悪態ばかり付いているようでも、聴覚障害のある弟に常に優しく接する兄と姉の姿が心を打つ。酒浸りでアル中になっていたポールを非難するレアの言葉に、本気でお酒を止めようとアドリアンに協力を頼んで努力するポール。アドリアンが悪戯でSNSにポールの写真を載せた事がきっかけで、昔のツーリング仲間が久しぶりにポールを訪ねて来る。年老いてはいるがバイクを颯爽と乗り回すポール爺さんがかっこいい。

2ヶ月の夏休みを過ごして孫達がパリに帰る日、プロヴァンスの駅まで迎えに来た母は、17年前に妊娠して家を飛び出していた。遠く見つめる2人を母の手を引っ張って近づけたのは、テオだった。子はかすがいというが、正に孫はかすがいという光景。離婚して苦しい状況の娘を優しく迎え入れようとする父の愛が見えて、どんなに長い間確執を抱えていても、家族を思う気持ちが消えた訳ではない。明るい未来が見えたラストがとても感動的だった。

*ゆうがおさんのレビューでこの作品に出会えました。有難うございました。
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