牧史郎

ドキュメンタリー:映画監督ミヒャエル・ハネケの牧史郎のレビュー・感想・評価

4.0
作品が年代順に遡って最後に(当時の)最新作に行き着くなど、編集が良い意味で上品なドキュメンタリー。

ハネケ作品の登場人物がカメラの後ろでは普通に笑ってたりしててちょっと安心した。特に『白いリボン』のメンバーが。

にこやかかつ饒舌ではあるが、「解釈に導くような質問には答えない」と明言するハネケにインタビューするの怖いだろうな…笑

苦しみを描く理由を問われて「苦しみが怖いから。それ以外の答えは必要ないだろ?」とインタビュアーを突き放した後、「身体的な苦しみは怖い。愛する人の苦しむ姿を見るのも怖い。精神的な怖さはそちらの方があるかもしれない」みたいな感じで答えるところが凄くグッときた。

「苦しみの中に尊厳を見いだす道は愛と思いやりしかない。愛は難しい。万人が授かるものではない」

ハネケが言うとこれほど重く美しい言葉になる…
牧史郎

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