Frengers

名探偵コナン 純黒の悪夢のFrengersのネタバレレビュー・内容・結末

名探偵コナン 純黒の悪夢(2016年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

黒の組織といえば「名探偵コナン」における骨子であり、最も緊張感をもって描かれる最大の謎。事前の情報からして「スリリングな映画になるんだろうな。原作にどれほど踏み込むのかな?」と妄想が膨らむばかり。

 まず冒頭からして日本アニメ界におけるミッションインポッシブルといった趣。格闘、銃撃、カーアクションと網羅し爆発まで。そして公安とFBI,黒の組織という三つ巴の構図は本作の方向性を示すものだった。中盤からはバーボンとキールがスパイであることが組織に明らかにされそうになる場面を除けば、記憶を無くした女性(キュラソー)を中心に、終盤へ物語はゆっくりビルドアップされていく。後半はほぼアクションであり、登場人物の大半が死と隣り合わせに進み、アニメでしか有り得ないアクロバティックな展開が見所といえる。カットの繋ぎも音響も、大きなスクリーン向け。アニメとしては最高のポップコーン・ムービーといえるだろう。

 今作において最も興味深かったのは、恐らくシリーズ初の群像劇的な側面があること。冒頭の関係性の他に少年探偵団、軋轢を含む警察関係者、コナンと灰原、そしてほんのちょっと蘭と園子。各グループがテーマパークに集まり、それぞれがただ自分に出来ることを成し得ようとするのが面白かった。互いに協力しあってヘリの打ち落としや観覧車の転がりを阻止するのが山場なのもそれがテーマの一つだからなんだろうなと。それと黒の組織に関わる人物(コナン含む)が割りとシックな服装で揃えられてたり。灰原のクレジットがかなり最初の方に配置されてたり。新しい要素を垣間見た感じ。

 前作の「業火の向日葵」にあれれ~?と思った方も、コナンを初めて見る方も楽しんでもらえるのではないだろうか。点数はコナンシリーズを全部見てきたファンの贔屓。純粋に「映画」という文脈で見るなら、2.7位なんだろうな、多分。

 20周年おめでとうございます。
Frengers

Frengers