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ビハインド・ザ・コーヴ 捕鯨問題の謎に迫るのCOKOのレビュー・感想・評価

3.8
監督の熱い想いを感じる作品。
日本からこの作品が出てきて本当に良かった。これが出てこなかったらおかしいと思わせてくれる。ザ・コーヴを見たあとだと特に。

自主製作にも関わらずシー・シェパードやザ・コーヴの監督にまでインタビューを敢行しているところにガッツを感じる。
今であればクラウドファンディングで資金が集まりそう。

ザ・コーヴでは一方的に日本が攻撃されていたけど、この作品を見ると例えばイルカは高等な生物だから云々、というのは極めて表面的な議論であるというのが分かる。

実際は捕鯨攻撃はアングロサクソンから有色人種に対する人種差別、アメリカの資金集め、アメリカによる過去の持続不可能な捕鯨、日米関係といった政治とカネと大衆扇動(+感情)の問題が本質なのだと気づかせてくれる。

特にレイシズムはここ2年ほどコロナ禍で、アメリカでアジア系の方々がひどい差別にあってるニュースが絶えないので現在進行形の問題であり、今も日本人全員に関係ある話。
レイシズムは確かに存在していて、コロナ禍のストレスで顕在化してきたというだけ。

捕鯨を食文化の問題と捉えて「クジラ以外にいくらでも代替のものがあるでしょ?」で片付けることは容易だが論点はそこじゃない。

あと、反捕鯨派の方が口を揃えていう「人類は全員菜食主義者になるべき」にめちゃくちゃ違和感。
植物も生き物なので、全ての生物を殺さないとなったら本当に霞を食べて生きるしか無くなるよね。
結局他から命をいただかないと生きていけないのだから、命をいただいていることに感謝することが大切で、その観点が抜けている人がおかしな動物愛護(?)に走るんだろうなと感じた。

ラストで欧米の一般の方々が「何の肉を食べるかは自分で決めるべきだよ」と爽やかに言っていたのが印象的だった。
まともな心は人種なんて関係なくちゃんと人類も含めた、全ての生き物に対する愛を持っている。
結局大きな何かの力で「〇〇しなさい」「〇〇でなければダメ」と支配しようとすること自体がもう古いのだ。

ザ・コーヴを見た方はもちろん、
日本人で「クジラ食べないから捕鯨反対〜」程度の方に一番見て欲しいと思った。(見ないか。。。)
多分捕鯨については当事者である日本人が一番知らない。
日本人の日本人による日本文化を知るための1本。
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