コマミー

世界の涯ての鼓動のコマミーのレビュー・感想・評価

世界の涯ての鼓動(2017年製作の映画)
3.6
【目に映るもの】

※遅くなりましたが、ヴィム・ヴェンダースの新作、観てきました。



ヴィム・ヴェンダースの作品は、ほとんど観てきたが、このような作品は初めてだった。
「誰のせいでもない」からであろうか。彼は、"自身にとっての新境地"に挑むようになってきた。本作も、ゆったりとしたラブストーリーであったので、おそらく彼の作品では初めてだ。

例えてみると、「シェルタリング・スカイ」だ。本作とこのベルトルッチの作品は、"「叶わない理想」"という点で似ている。
"海底"と"紛争地帯"という二つの危険な場所を舞台に、互いに思いを巡らすという物語で、とてもじゃないが"悲しい恋文"のような作品になっている。

"目に映るもの"が、女と男どちらにしても"危険な状況"で、会える状況ではないとしても、片隅ではぞれぞれ思ってる。

     「会いたい」と。

こうしてみると、テレンス・マリックの作品も思わせるだろう。
なかなか焦れったく進むし、どちらかと言うと、男のシーンはハラハラ。
"暗い気持ち"にもなった作品でもあった。ここは、「誰のせいでもない」でもそうだったのだが、終始、滑らかに事は進み、暗い作品であった。

ヴィム・ヴェンダースの作品の中では、あまり点数を与えられない作品であったが、どこか"不思議な魅力"を放った作品であることは、今までの彼の作品そのものであった。その点では、主演の二人の演技も落ち着きがあって見やすかった。

その点では、かろうじて、ヴィム・ヴェンダースの新境地として確立したのだ。
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