束縛からの開放を望んでいる思春期の娘（寺島まゆみ）が、教諭（影山英俊）と女生徒（麻生みちこ）を絡ませた三角関係を体験する。男性経験をもたない処女が「女」であることを実感するまでを描いている、日活ロマンポルノ。

処女という足枷をはめている少女が、「興味と恐怖」が玉石混交している世界を縦横無尽に泳ぎ回る。自身の子宮の声が聞こえてくるという、女性脚本ならではの演出が盛り込まれており、「口から出任せ・子宮から本音」のコメディが機能している。

「男女は、体だけの繋がりを本能的に求めることもある」ということを、主人公が諭されていくパターン。要点を台詞で説明してしまうが、不自然な独り言ではなく、心の声として演出されている。

主人公のアホ娘ぶりが、良い意味でホラーの領域に達しているため、一挙手一投足に目が離せなくなる。唖のホームレス（佐竹一男）や悪友（森村陽子）など、癖のある人物が絡んでくるところも愉快痛快。

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処女の寺島さんが親友とあーだこーだ、愛と恋とsexと…よくわかんないんです、ってモノローグに加えて股間からもデジタルな別人格の声が聞こえてくる。親友と男子は映画館で外野交えてsex、憧れの影山先生はクラス委員とその妻と三角関係。両親の川村さん沼田さんは不感症対策に浮浪者カップル呼んでsex。カオス状態のなかどこにでも現れる浮浪者の佐竹さん。風呂に入れたら男前、口もきかない佐竹さんに犬の鳴き声でワンワンと泣く寺島さんが切ない。安定した寺島さんのコメディ、この作品もすごくいい。鹿水晶子脚本、森勝撮影。

処女の寺島まゆみが悶々として親友と言い争いをしているくだり、よく見る。太ももを伝うカブトムシの牝。官能的な画を撮らせら森勝の右に出る者はいない。童貞カップルの映画館でのセックスをノゾキ魔が手伝ったり、浮浪者のおっさんと娘がセックスを見世物にして不感症の夫婦から金をもらったり、浮気された妻と浮気相手の女学生がレズビアンカップルになったり、最終的には女性の陰部が話しかけてきたりして、セックスを題材にした別役実の不条理劇みたいな感じで、今のところ白鳥信一のポルノで最も興味深いフィルムだった。「愛とセックスも恋もごちゃごちゃしていてよくわからないんだから～」、寺島まゆみはロマンポルノ最強のコメディアンヌ。