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アイアン・スカイ/第三帝国の逆襲の一人旅のネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

ティモ・ヴオレンソラ監督作。

西暦2047年の近未来を舞台に、復活したナチス・ドイツの軍勢に立ち向かってゆく地球人の冒険と闘いを描いたSFアクションコメディ。

制作費の一部をSFファンからの出資金で賄って完成させた『アイアン・スカイ』(12)の7年越しとなる続編で、前作同様、クラウドファンディングで世界中のSFファンから集めた総額1.5億円のカンパを制作費に充当しています。監督は前作に引き続きフィンランド出身:ティモ・ヴオレンソラ。

いや~、公開3日目に朝一で観てきました!(なんで観に行ったんだろう?笑)。8時台に行ったにも関わらず、映画館は『トイ・ストーリー4』(まだ観てないけど、こっちが優先!笑)を観に来たファミリーで溢れ返っていました。でも意外なことに、本作を観に来たお客さんも結構いましたね~(20人くらいでしょうか)。前作からのコアなファンなのか、それとも内容は知らないけどB級臭ぷんぷんのポスターに魅せられたのか、もしくは満席御礼のトイ4を諦めて急遽本作を観るに至ったのかは分かりませんが、いずれにせよ、本作のような主流から外れた映画も見捨てられてはいないというのは喜ばしいことですね。

まさかの続編!で、やっぱり今回もクラウドファンディングを活用して作り上げた、映画ファンの愛情(?)がたっぷり詰まった作品になっています。今回は、前作のラストで地球規模の全面核戦争が勃発した2018年から約30年後、地球の文明が完全壊滅し、残された少数の人類が月に移住している2047年が舞台になってます。で、前作で死んだと思われたウド・キア演じるナチス総統がまさかの復活再登場!そしたら彼の口から衝撃の事実が―「俺は人間ではない、宇宙種族だ!人類を作ったのは俺たちなのだ!」と。なるほどなるほど、そういう展開ですか。で、近未来ではエネルギーがすっかり枯渇してしまっておりまして。ヒロインの母親の病気を治すには、崩壊した地球の地下空間に眠るとされる“超エネルギー”が必要なのだと。だから、お前ら人間共がそのエネルギーを地球に行って手に入れてこいと。そんなわけで、今回は地球の地下空間に広がる『ジュラシック・パーク』的新世界を舞台にした大冒険が繰り広げられるわけです。で、出てくる出てくる、変なのがいっぱい出てくる!ティラノサウルスにトリケラトプス、恐竜たちが闊歩する大自然のワンダーランド。さっき『ジュラシック・パーク』的新世界と書きましたが、よく考えたら『マーシャル博士の恐竜ランド』の世界観に近いですかね。で、とにかく気になるのが映像のチープさ。新世界のセットなんて作り物感満載で、失笑ものですよ。でも、そんな安っぽさが本作の大切な大切な魅力(?)でありまして…。最初からリアリティーなんて求めていません!お馬鹿で下らなくて何でもアリのごちゃ混ぜな映像世界が売りでもありますから。だって、アドルフ・ヒトラーが宇宙種族として登場するんですよ(ウド・キアの一人二役)!さらにサッチャー首相やチンギス・ハーン、スターリンという歴史上の大物達まで宇宙種族という扱いで大々々復活を遂げますし、ヒトラーがティラノサウルスに騎乗して襲い掛かってくるなんて最高の下らなさですよ(誉め言葉)!ついでにいうと、スティーヴ・ジョブズらしき神様を崇拝する“ジョブズ教”という胡散臭さ万点の新興宗教が幅を利かせているというユニークな設定にも笑わされます。十字架の代わりに、iPhoneとかiPadらしき電子機器にお祈りを捧げるシーンなんて馬鹿馬鹿しくて最高ですよ!さらには黒のセーター&ジーンズというお馴染みのファッションでキメたスティーヴ・ジョブズのそっくりさんまで登場する訳の分からなさに全力で肩の力が抜けます。

とまあ、何でもアリに拍車がかかった続編。真面目に観ようとすると“なんだこれ、糞つまんネェ!”っていう感想になってしまいますから、最初からカオスなおバカ映画だと割り切って鑑賞しましょう!

蛇足)
本作に限った話じゃないんですが、特殊メイクで老人の風貌を頑張って作ってるのに、“声”だけは元の役者の声をそのまま使ってるのが惜しいなあ~。
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